「大島が演じている小雪は、サバサバした性格ながら地味な見た目で薄幸そうな雰囲気。AKB48のセンターだったことを忘れさせるほど、そのキャラクターにマッチしています。さらに眉毛を段違いにする顔芸や何気ないセクシーな表情など、脇役でありながらキラリと光る演技が目立っている。最近は少し痩せ気味の体型になっているのですが、それも役作りではないかと思えるほど役柄に合っています」(テレビ誌ライター)
大島は2014年にAKB48を卒業し、翌年にドラマ『ヤメゴク~ヤクザやめて頂きます~』(TBS系)で主演を務めたが、全話平均視聴率6.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と低調。その後も映画『ロマンス』に主演したり、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』に出演したりと破格の扱いを受けていたが、いずれも評判は芳しくなかった。
だが、『東京タラレバ娘』の演技で今までの低評価を完全に覆してしまいそうだ。
「どうしてもAKB48の元センターとなると、ドラマや映画に出演すると正統派ヒロインに起用されやすくなりますが、それでは実は意外な芸達者である彼女の個性が活かせなかった。今作はあくまで吉高が主演、榮倉は今までのイメージの違った茶髪で夢見がちな女性を演じ、この二人のインパクトが強い。それだけに脇に回った印象のある大島の演技力の高さが際立ち、視聴者の絶賛につながっているようです」(前同)
大島はAKB48時代の華々しいイメージが強いが、実は8歳のころから子役として活動していたので芸能キャリアは約20年。子役時代はジュニアアイドルとしてイメージDVDをリリースし、AKB加入以前にも別のアイドルグループに所属するなどしていたが、いずれもパッとしなかった。だが、この苦労した時代に脇役として光るための演技力が磨かれ、それが今になって活かされているのだろう。
AKB時代のライバルだった前田敦子(25)も当初は映画やドラマで「正統派ヒロイン」に起用されがちで個性が活かせなかったが、主演映画『もらとりあむタマ子』でグータラな干物女をリアルに演じたことで評価が一変した。それと同じように、ようやく業界が「女優・大島優子」の扱い方を認知し、これからは彼女の個性や演技力の高さが存分に活かされる作品が生み出されていくのかもしれない。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops)