博士:ゴキコンでは役者として出つつ、ウレタンとGボンドとラテックスで作る着ぐるみ造形の技術を学びました。以降小劇場を中心に特殊小道具を製作する仕事が増えて『ウレタンを工夫工房』と屋号を付けて活動するようになりました。
しじみ:その博士が代表を務める『ウレタンを工夫工房』ですが、給料が米って聞いたんですが…。
博士:はい、米ですね。要はお金を払うことができないので。基本的にピリカという通貨制度で、1ピリカで、ゆめぴりか1.3合になります。
しじみ:米はあるの? 農家の息子なんですか?
博士:スーパーで買います。
しじみ:米を買うお金はあるんだ…そのお金を下さい(笑)。
博士:そこをお金にしちゃうとちょっと面倒なことが起こり兼ねないので。“お金でやってる仕事”っていうのと、“米でやってる仕事”っていうのじゃ、手伝う側も何か意識が違うだろうと。米でもやる人がいいなぁって。
しじみ:そこでふるいにかけてる訳ですね。
博士:そうですね。普通は来ないでしょ米で。米でも来る人っていうのはどっかしら大らかですね。
しじみ:なるほど…私には無理だ! ピリカっていいですね。『カイジ』の地下王国の通貨ペリカみたいで。あと、ゴキコンやってて今までこんな大変なことがあったぞってエピソードはありますか?
博士:俺、今まで鼻が効かなかったんですよ。3年前に手術して初めて嗅覚が効くようになったんですけど、その時に出た公演が、ドラム缶に60キロ相当の納豆を入れてそこに住んでるスーパー苗床人間の役だったんです。
しじみ:おえっ!! せめて嗅覚が効かない時にやってほしかったですね。無情ですね。
博士:パチンコのやり過ぎでお金がどうにも回らなくなっちゃって、治験のバイトを始めたら、どんどんエスカレートして自分が苗床になっちゃったという設定で。舞台が迷路になってて、お客さんが4人ずつになって、入りたくもないような不潔な迷路を辿っていくという内容でした。
しじみ:面白そう!
博士:面白いと思います。でも、鼻が効いて納豆の臭いを初めて思い知らされた上に、納豆風呂に毎日6時間くらい入って、それを4日間やってたので、納豆菌も死滅して腐敗菌になり、納豆の臭いとも違う凶悪な臭いがしてました。さらにそこに浸かってると皮膚の抵抗力もなくなってきて、ちょっと擦っただけでもミミズ腫れになるんですよ。でもお風呂で納豆落とすためにゴシゴシ洗うから、終わる頃にはもう全身ミミズ腫れでヒリヒリでした。
しじみ:納豆風呂に浸かり続けるとそんな風になるんだ。前例がないから、人類の発見ですね!
博士:本当なんですけど、半年間納豆の臭いが消えなかったですね。
しじみ:幻覚というか幻嗅なんじゃないですか!? あまりに壮絶で。さっきまで普通に喋ってて普通の人みたいに錯覚してましたが、やっぱりこういうエピソード聞くと普通の人じゃないんだなって思いますね。