敦煌(とんこう)。
ウイグル自治区にもほど近い中国奥地にあるこの街は、かつてシルクロードの分岐点として栄えたオアシス都市だ。
少し街を離れるとそこに広がる広大なゴビ砂漠。
この砂漠でセックスすることになるなんて思いもよらなかった…。
【敦煌の街で出会った怪しい中国人】
中国を旅していたとき、ぼくはこの敦煌という街に寄ることにした。特にこれといって目的はなかったが、移動の中継地としてちょうど良かったのと、ゴビ砂漠だけは見てもいいかなと思ったからだ。
街に降り立って驚いた。モスクなどのイスラム文化が街の中心部全体に浸透していて、皆が想像するいわゆる「中国の街」とは完全に異なる雰囲気だった。
近隣には莫高窟や鳴沙山、月牙泉などの観光名所があり、敦煌に来る観光客は多い。
それらの観光名所に特に興味が湧かなかったぼくは、いつものようにただ街をうろついていた。
「オニイサン! ニホンジン?」
片言の日本語で話しかけてきたその男(以下、R)。
どうもレストランの勧誘らしい。
日本人が多い観光地に行ったことがある人なら、このように声をかけられた経験があるだろう。
ぼくは普段ならこの手の勧誘は相手にしない。ただ、この時はかなり腹が減っていたのと、男の日本語が思ったより流暢だったことに興味が湧いた。
JOJO「ちょっとメニュー見てもいいですか?」
R「ドウゾ。オススメハ、コレトコレトコレデス」
値段も高くないし、悪くないか…。
ぼくは勧誘に乗って、そこで休憩することにした。
R「イッショニ ビールノミマショウ!」
Rは仕事をほったらかしてぼくのテーブルにつき、一緒にビールを飲みはじめた。
座って話すくらいならわかるけど、ビールまで飲みだすなんてこのおっさん何者だろう…。
ただの呼び込みではなさそうだ…。