■2位:里咲りさ「窓辺に小鳥はいない」
里咲りさがメンバーであり運営(スタッフ)でもあった少女閣下のインターナショナルが活動を休止したのは2016年7月8日だった。
「窓辺に小鳥はいない」は、アイドルにしてシンガーソングライターでもある里咲りさのアルバム「売れるまで待てない」の収録曲。ピアノの伴奏で歌われる、驚くほど内向的な楽曲だ。里咲りさいわく、少女閣下のインターナショナルのメンバーを意識した楽曲だという。歌詞には「金曜日」という単語が登場するが、少女閣下のインターナショナルの活動休止ライヴも金曜日だった。グループの活動休止当時の心情を投影しつつ、ソロでそれを表現することができるのは、里咲りさぐらいのものだろう。
そもそも、そんな経緯を一切知らなくても美しい楽曲だ。小さく入っているノイズは内面の葛藤を音にしたかのようでもある。編曲は、里咲りさとコンビを組んでいる灘藍。
「窓辺に小鳥はいない」は、この映像の1分4秒頃から聴くことができる。
アルバムのリード・ナンバー「Little Bee」のMVも貼っておこう。監督は二宮ユーキ。
■3位:清竜人25「LOVE&WIFE&PEACE▽」(▽の正式表記はハートマーク)
2017年6月17日で清竜人25が解散することは、率直に寂しい。たとえば、この「LOVE&WIFE&PEACE▽」を聴いたとき、なおさらそう感じる。
「LOVE&WIFE&PEACE▽」は、2016年にリリースされた清竜人25の楽曲でもっともブラック・ミュージック色が濃い。モータウンを連想させるソウル・ナンバーだ。編曲はダンス☆マンである。
そして楽曲に溢れる幸福感に浸っていると、後に腰痛が原因で「専業主婦になることを決めました」と発表することになる清桃花についても思い出してしまう。そして解散についても。
そうした感傷に浸る気配もなく、清竜人は新プロジェクト「TOWN」をスタートし、現在は毎週新曲を配信している。それと並行して清竜人25でも活動しているのだから、尋常ではないバランス感覚だ。
清竜人25の解散ライヴは4時間に渡ることがすでにアナウンスされている。最後の晴れ舞台で私の感傷など吹き飛ばしてくれることに期待したい。
■4位:バンドじゃないもん!「気持ちだけ参加します。」
私にとって渋谷系の呪縛は強く、その魅力には抗えない。
バンドじゃないもん!がインディーズの期間を経て、2度目のメジャー・デビューを果たしたのがシングル「キメマスター!/ 気持ちだけ参加します。」。「気持ちだけ参加します。」の作曲は、元Cymbalsにして現在は清浦夏実とのTWEEDEESで活動する沖井礼二だ。TSUTCHIEの編曲により、ストリングスの音色に彩られた鮮やかなサウンドになっている。
作詞は沖井礼二とメンバーのみさこの共作。その歌詞のけだるく物憂げな雰囲気は、バンドじゃないもん!にとって新機軸だった。ライヴでの熱狂を見慣れていたので、なおさら「気持ちだけ参加します。」は録音作品として新鮮だったのだ。