保護司とは保護監察官を補助して、犯罪を犯した者の更正をサポートする仕事。給与はなく、ボランティアでの活動。地域で信頼されることも多い仕事だ。
この社長、先代住職の長男として仏教系の大学卒業後にあとを継ぐ一方、出版社勤務を経て独立し、昭和55年から都内で出版社を作って経営していた。
ところが、61年頃に赤坂の台湾バーで31歳台湾人女性と知り合い、愛人関係となる。そして63年春頃から女性から「台湾人女性を使った売春バーを始めたい」と持ちかけられる。それに対してこの住職、よし任せろとばかりに、開店資金のほぼ半分である400万円を出資した。
この住職、愛人女性に「儲かったら2人で温泉にでも行こう」などと話していたという。
聖職者だからといって万事に清廉であれとは言わないが、もう少し配慮があってしかるべきなのではあるまいか。仕事がないならともかく、当時はいくらでも、普通に働いてまっとうな収入が得られる求人があった時代である。
ともかくこの住職、保護司でありながら、自らが更生の道を進むことになったしまったわけであるから、その点はなんとも情けないところであろう。
(文=橋本玉泉)