この手の事件は、新聞記事を調べていくとしばしば見つかる。そしてなかには、殺人事件にまで至った事例もある。
戦後の昭和34年3月6日、三重県の津市(つし)で29歳の女性が、男女関係にあった14歳の中学生を殺害する事件が起きている。
女性は自宅で靴下縫製の仕事をしていたが、仕事に使う部屋を近所の子供たちの遊び場としても開放していた。ある日、たまたま遊びに来ていた中学1年生、その頃はまだ13歳の少年と関係してしまう。それからは、中学生の少年は毎日女性の元を訪れるようになった。13歳ともなれば、セックスには興味と体力が旺盛な歳である。そのアラサー女性と少年との関係は、1年近く続いた。
しかし、15歳も年の差がある関係には無理があった。些細なことからの口論も多かったようである。そしてついに3月6日の夜、試験勉強中だった少年を呼び出して無理やり自宅に引っ張り込んで絞殺した。無理心中を図ったのではないかといわれている。
事件を報じる週刊誌などには、家計を助けるために仕事で忙しく、そのために婚期を逃した女性の事件として紹介されているものもある。当時は20代前半までに結婚する女性が多かったようである。こうした点でも、晩婚化が進む現在との差異がみてとれる。
(文=橋本玉泉)