【飲むとやっぱり…】
安ワインの紙パックがどんどん空いていく。
そして、酔っ払ってくるとまたあの衝動にかられてくる。
日本から遠く離れた土地。
お互い旅人の自由な身。
ストレスなくできる人が近くにいたら…。
もっともっとって、どんどん求めてしまう。
先を急ぐ必要があったため、この日は彼女と一緒に過ごせる最後の夜だった。
JOJO「ねぇ…。もう寝る?」
飲みがお開きになった頃合いをみて、彼女の腰に手をあてながら聞いた。
彼女「えー…。またしたいの?」
ハートマークが付きそうな甘ったるい声で彼女はそう答えた。
JOJO「いつだってしたいよ」
そう答えると、彼女は意味ありげに微笑んで、ぼくの手を引いた。
【突然開くドア】
ぼくたちは、また昨日と同じ部屋に入った。相変わらず空室だ。
抱きしめてキスをして彼女の服を脱がせていく。
彼女の手がぼくの身体に絡みついてくる。
立ったままの状態でお互い上半身裸になり、彼女の胸に顔をうずめていたそのとき、
バタン
ドアが開き、廊下の光が入ってきた。
人影が見えるが顔が見えない。
固まるぼく。胸を隠しながら慌てて服を着る彼女。
ドアを開けたのは、宿の管理人だった。
【宿を追い出されそうになるも…】
管理人「ここでなにしてる?」
ぼくたち「…」
答えることができなかった。何をしているかなんて一目瞭然だ。
管理人「いますぐ荷物をまとめて出て行け!」
彼はそう吐き捨て、部屋を出て行った。
この時点で深夜1時。
近くにも宿はいくつかあった。でもそれらは安宿ではない。それに、何よりこんな時間に荷物をまとめてチェックアウトなんてしたくない。
もちろん悪いのは自分たちだ。そんなことは分かっている。
なんとか交渉しないと…。
ぼくは急いで服を着ると、管理人のあとを追いかけた。
JOJO「ごめんなさい。ぼくたちが悪い。でも、今何時だか分かってるかい? こんな時間にチェックアウトなんて無理だよ」
管理人「10分だけやる。その間に荷物をまとめてチェックアウトするんだ。分かったな?」
聞き入れてくれる様子はなかった。なおも食い下がると、彼はこう言った。
管理人「お前ら、昨日もあの部屋にいただろ。2回目だぞ」
なにっ! バレてる…。
この宿のベッドはよくきしんだ。
最初は音を立てないように気を付けてたけど、途中から盛り上がって結構激しくしてしまったような…。
後から別の旅行者に聞いたら、ぼくたちの姿がみえなくなった時点で、管理人が部屋まで探しにきていたらしい。
つまり、たまたま見つけた訳ではなく、目をつけられていたのだ。
悪いのは明らかにこっちだ。勝手に部屋を使っていい訳がない。
でも、こんな時間に出て行きたくはない。数時間後にはどうせ出発だ。頭をフル回転させた。
こうなったらあの手しかない…。