首筋に突きつけられた刃物のあの感覚を、ぼくは一生忘れることはないだろう。
犯人たちの荒い息遣いが直に伝わってくる。
意外なほど冷静な自分がそこにはいた。
【キューバの立ちんぼ嬢】
キューバで最初に女の子と遊んだのは、カマグウェイという小さな街だった。
「その女の子は彼女?」
キューバに来てから知り合った旅行者の女性と街の中心部をブラブラしていると、そう声をかけられた。振り向くと、そこには派手な格好をしたキューバ人の女の子がふたり。
「いや、友達だけど」
「それなら問題ないわね。遊びに行きましょう! 連れと私、どっちが好み?」
驚いた。男同士ならまだしも、女の子と一緒に歩いているときにまで声をかけてくるなんて…。
友達を別れて今度はひとりで街を歩いた。キューバの街を歩けば、それらしき女性はたくさんいる。ただ、この街は小さいため女性の数があまり多くない。
良い娘がいないなぁ…。
そう思いながら話しかけてくる嬢をやり過ごしてると、ある女の子が目に留まった。
細身で綺麗系の顔立ち。
金色に染めた髪と白い肌。
年齢は20歳くらいだろうか。
目が合ったので笑いかけると、彼女はすぐにこちらにやってきた。名前を聞いたり世間話をしながら様子をうかがう。
このために覚えたといっても過言ではないスペイン語。キューバ人のスペイン語はアクセントが強くて聞きとりにくかったが、つたないながらも最低限のコミュニケーションはなんとかなる。しばらく話していると彼女から本題に触れてきた。
「どう? 私と“良いこと”したい?」
もちろんだ!
女の子への支払い20CUCと、ラブホテル代わりのCasa(スペイン語で「家」の意」)10CUCの計30CUCで合意した。
※CUCはキューバの通貨のひとつで、米ドルとほぼ同価。30CUCは約30ドル
ホテルに泊まってたり、自分が宿泊しているCasa(キューバには安宿がないので貧乏旅行者は人の家=Casaに泊まるのが主流)に女の子を連れてる場合、このCasa代は不要だ。つまり約20ドルでこれだけの美女と遊べることになる。物価が安いキューバならではだ。
おそらく警察を警戒してのことだと思うが、Casaに向かう途中男性がひとりぼくたちについてきた。ぼくと嬢と地元男性の3人でCasaを探してうろうろ街を彷徨った。これが意外に手間取った。看板を出してるCasaの数は割とあったが、この日はいっぱいだったのか深夜2時頃と時間が遅かったせいか、なかなか部屋に入ることができない。
街中のCasaはすべて断られ、仕方なく旧市街から少し離れたCasaまで自転車タクシーで向かうことになった。Casa探しに要した時間は1時間以上。テンションが下がってしまいそうな展開だが、女の子の方から手をつないできたり、キスしてきたりするので間延びせずにそれはそれで楽しかった。
ようやく部屋をみつけてチェックイン。彼女はすぐに服を脱ぎ、ぼくにキスをすると服を脱がせてきた。