ベッドでのプレイは、オイルマッサージから始まった。通常、こういったマッサージでは、ミントやラベンダーなどのアロマオイルを配合したオイルを使うことが多い。それは、香りの中にリラクゼーション効果があるからだ。
しかし、この店では、シットリと肌に潤いを与えてくれることを感じるものの、なんの香りもしなかった。気になり、仰向けにさせられた時にマッサージオイルをチェックしてみた。
それはグレープシードオイルで、ブドウの種から搾取したオイルだった。なんでも、抗酸化作用があってアンチエイジングに効くのだとか。このオイルは料理にも使われるが、ほとんど味がなく、さらに香りもないという。
ここで筆者は気付いた。それは、ボディソープもオイルも徹底的に無香にこだわっているということだ。
これは、家族や仕事の同僚に気付かれないための配慮で、「浮気って、けっこうニオイでバレるんです」というカスミさんの言葉にハッとさせられた。バツイチなだけに、やけに重みがあった。
マッサージ後、いきなり背後から抱きつくように密着してくるカスミさん。そして、「すごく寂しかったの…」とつぶやいた。それは離婚から2年、男に飢えているというメッセージのように聞こえた。
背中でDカップのおっぱいを感じながら、しばし密着感を楽しむ。その後、彼女は男の身体を楽しむように、全身リップなどで容赦なくむしゃぶりついてきた。
それは淋しさを埋めるような激しさで、ほかの風俗店とくらべても、かなり濃厚な部類に入るものだった。
プレイ後、ふたたび無香のボディソープで身体をスッキリさせて、すべてが終わった。
帰り際にカスミさんは、「このお仕事って、プレイ中は満たされているけど、家に帰るとひとりだって思うと、お客さんとのサヨナラの時、淋しくなるんです」と話した。筆者も同様で、気遣いのある情熱的な時間を過ごしただけに、別れが名残惜しかった。バツイチ専門風俗は、香りは残らないが、切なさが残るのであった。
(文=子門仁)