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昭和5年(1930)8月6日の夜11時頃、大阪・今西の旅館で、難波署員が女性2人から誘拐犯についての情報を得たため、西成区に住む花田民三(54)を警察に引致して取り調べたところ、凶悪な犯行が明らかとなった。
旅館にいたのは、31歳と16歳の年の離れた姉妹。郷里から神戸に出てきた2人は、工場を転々としながら働いていた。
7月20日、31歳姉が12歳の娘を連れて外出していた際、民三にだまされて今西まで連れてこられ、12歳の娘は新潟の48歳の男に70円で売りとばされてしまった。さらに民三は、16歳の妹までも監禁して暴行を加え、私娼として働くように脅迫していた。
さらに調べを進めると、民三は7月3日にも、市内の簡易宿にいた17歳と10歳の兄と妹を、2人が両親と死別して職を探しているのをいいことに騙し、10歳の妹を70円で売りとばし手数料20円を懐に入れていた。
このほかにも、昨年1月には12歳の、9月には9歳の、それぞれ少女を誘拐した事実が確認された。民三はほかにも同様の手口で少女を誘拐しており、その数は数十名にも及ぶと見込まれた。
なお、先の12歳と10歳の少女は新潟にいたところを警察の手によって取り戻され、母親のもとへと帰された。