事件の発覚により、当局は夫のダンス教師の資格取り消しと、ダンススタジオの許可も取り消しという処分を行った。
それにしても、富裕層や社会的地位のある家の主婦や令嬢、いわゆる「良家の奥様やお嬢様」が、売春まがいのことに興じる事例はいくつも発生している。
たとえば、この事件の後、戦後の昭和31年には結婚相談所を装った売春あっせん業者が急増。相談所の中には、あからさまに売春クラブとして営業しているケースもあったという。女性会員は会社員がほとんどだが、中には良家の子女などもおり、「スリルと性の享楽」を楽しんでいたという。一方、男性会員のほうも、一般の社会人のほかに、有名企業の重役や国会議員などが名を連ねていたりしたとか。
社会の不況などの混乱期には、生活苦などから不本意に売春へと身を落とす女性が増える反面、興味や刺激を求めて無軌道なセックスを嗜好するセレブも見られる。まあ、上流階級の人々でも、下半身の欲求は庶民と変わりなし、といったところだろうか。
(文=橋本玉泉)