福生の歓楽街は、ふたつの顔を持つ珍しい街だ。スナックが並び、今でも「アカセン」と呼ばれる旧赤線街と、キャッシュ・オン・デリバリーのアメリカンバーが並ぶ路地とが、一本の路地を挟んで隣り合っている。街並が対照的なら人の賑わいも同様で、週末の夜、アメリカンバーは多数のガイジンや日本人で賑わっているのに対し、隣にあるアカセンには閑散とした空気が漂っている。
そのアカセンにある一軒の台湾パブに入ると、先客は一組だけ。店の女性は全員アラフォー以上の台湾オバちゃんのみだ。情報では連れ出し可ということだったが、食指を動かされるような人妻は皆無だった。
帰り際、カウンターで相手をしてくれていたオバちゃんが筆者に向って囁いた。
「今度来タラ、彼女ニナッテアゲルヨ」
いらんわ…。
再びアカセンの街をぶらついているとき、声をかけてきたのがピンサロのオヤジだった。
「今なら6000円でいいよ」
看板には8000円と書かれている。
「写真見れる?」
そのまま店内に案内され、見ると入り口付近に女のコのポラロイド写真が貼られている。
「このふたりならすぐ入れるよ。VIPコースは1万円」
オヤジが指差すのはふたりともアラサーのポチャ系だが、悪くはなさそうだ。それに、やっぱり本サロのようだ。