その特殊な待合室からは、ふたつの扉が見えた。そこを開けると廊下が伸びていて、いくつかの部屋があるのだろう、そう思っていた。
ついに筆者の番となった。開いたのは右側の扉だ。ミカさんという女性がお出迎えしてくれた。しかし、何か変だ…。彼女の背後には、湯気が立ち込めていた。
つまり、そこは個室だったのだ。おそらく三畳程度の広さで、お世辞にも広いとはいえない。もはや笑ってしまうしかないこのプレイルームに、頭の中で『三畳ソープ』と勝手に名付けてしまった。
ちなみに、ソープランドは、かつては個室付き特殊浴場と呼ばれた。これは特殊なサービスを行うという意味ではなく、銭湯などの普通浴場に対して、サウナが付いていたためだ。ソープランドとして営業するからには、それを使うかは別に、サウナを付けなくてはいけない。もちろん、このソープランドにもあった。
また、“浴場”でなければいけないので、仕切りのないバスルームとベッドスペースが必要だ。もちろん、この店も分かれてはいたが、三畳ほどのスペースにこれらを凝縮するのである。大股一歩で脱衣所兼ベッドスペースとバスルームを跨ぐことができ、その圧迫感はなかなかのものだった。
さて、サービスの方だが、スペースの都合で最初からマットプレイはなかった。バスタブも一般家庭並みの大きさなので、潜望鏡などもできない。
ただ、悪いことばかりではない。スペースがない分、密着度は抜群で、ボディ洗いではミカさんのDカップのバストを堪能することとなった。
ベッドも50センチ程度しか幅がないため、常に重なった姿勢になり、フェラも必然的にシックスナインに。そして、より部屋の狭さを実感したのは、声だった。
部屋の中に湯気がこもっているためか、彼女の悶える声や、しゃぶる音に絶妙なエコーがかかるのだ。まるで温泉モノのAVのようで、そういった意味では興奮できた。おそらく絶頂時の声は、壁一枚向こうの待合室兼受付にも響いていただろう。
店に入った瞬間は“ヤバイお店のにおい”がしないでもなかった。しかし実際に体験してみれば、地下独特のこもった空気さえ気にならなければだが、密着度も含めてなかなかいい店なのだった。
(文=子門仁)