「てかヤバっ! 本当に日本人? なんでこんなとこいんの? まじヤバーい!」
「いやいや、それこっちの台詞!」
ボアッチの嬢が完璧な日本語を話してるというだけで笑えた。話をしてみると、彼女は日本人とブラジル人のハーフだった。
年齢は20代半ばで、長く日本で暮らしていたらしい。携帯の写真を見せてもらうと、そこにはギャル系の女子高生が写っていた。確かに口調がギャルそのものだ。
言葉が通じなかったところに現れた彼女は、まさに救世主のようなものだった。ぼくたちは会話を楽しんだ。
「てか、日本人と話すの超久しぶりだんだけどー! まじヤバい!!」
彼女は両足をぼくの太ももの上に乗せ、完全リラックスモード。
「ねー! あの娘ちょーキモくない? ほら! キッショ! まじないわ~」
「JOJOは私とあの娘だったらどっちがタイプ? はっ? どこがいーの? 趣味わるっっ!!!」
「私、お腹空いた! ご飯頼んでもいい? つーか、いいよねっ!」
ぼくたち以外日本語が分からないのをいいことに、大きな声で言いたい放題だった。キャバクラ…というより場末のスナックにいるような感覚。
「みんなで写メ撮ろうよっ! ねっ! そうしよう! 携帯貸して!」
彼女の携帯電話は、古いPHSのような形をしていた。発展途上国で現地人がよく使っているタイプのシンプルなもの。
「iPhoneとかここに持ってくると盗まれちゃうの。あの娘たち、ほんと最悪。だからこんなしょぼいやつ」
携帯の待ち受け画面には、かわいらしい子どもが写っている。
「私の息子。かわいいでしょ?」
父親は逃げてしまったらしい。彼女は家族を支えるため、ここで働いていた。そんな身の上話も明るく話す彼女の中に、一瞬だけ影が見えた気がした。
立ちバックで後ろからガンガン突かれないと感じない
彼女は店の一番人気だった。近くの席で彼女を待っている常連客がこちらをじーっと見ていたり、新規の客達も彼女を見つけるとしばらく見つめていた。
そんな人気者を独占する、見るからに弱そうな日本人ふたり。若干気まずいが、気にしないことにした。
日本の話で盛り上がりながらしばらく飲んでると、彼女はぼくの股間に手を伸ばしてきた。しばらくすりすりと触られる。
「ねー、勃起してるよ? ウケる」
すると、今度は小声で囁いた。
「ねー…私とSEXしたい?」
彼女は、正直ぼくの好みのタイプではなかった。それでもぼくは「もちろん」と即答した。ブラジルの場末のボアッチで、日本人ハーフを抱くのは面白い経験だと思ったからだ。
自分がナンバーワンだと豪語し、他の嬢を見下してる彼女の腕前がどんなものか試してみたいという気持ちもあった。
料金は30分で90レアル(当時のレートで約4000円)。この辺りだと少し高めだが、高級ボアッチに比べるとはるかに安い。
受付で料金を支払い、店内の上の階にある部屋に向かった。
お湯が出ない小さなシャワールームとベッドがひとつ置いてあるだけの狭い部屋。
シャワーを浴びながらキスすると、彼女の舌ピアスがぼくの舌にあたった。金属の異物感が心地悪い。
「へー。キスは下手じゃないかな」
と、ニヤニヤとぼくの顔を見つめながら彼女は言った。そういった斜め上からの発言は、SEX中も続くことになる。M男には丁度いいかもしれないが、ぼくにソッチの気はまったくない。
ベッドに移り、ぼくたちはそのまま身体を重ねた。若々しくてハリのある肌とは裏腹に、授乳を経験した彼女の乳房にはハリがない。彼女のバックグランドがふと頭をよぎり、複雑な気持ちになった。
今そんなこと考えても仕方ない…。
雑念を振り払い、彼女を抱いた。
「悪くないんだけどぉ、ちょっと物足りないかなぁ。ブラジル人とか皆もっとガンガン突いてくるよ?」
「立ちバックで後ろからガンガン突かれないと感じないんだよね、私」
そんなの知らんがな。
“つーか、お前スイッチ入って、ポルトガル語でなんか訳わかんないこと言ってたじゃねーか!”とでも言ってやりたいところだったが、「そうなんだー! ごめんねー」と大人の対応に留めた。
スレていない日本人の女の子が異様に恋しい…。そんな感覚を、ここブラジルで持っていることがおかしかった。
SEXを終えたぼくたちは、下のフロアに戻り、くだらない話を続けた。
「ごめん、そろそろ行かなきゃ」
ぼくは翌日早朝発の飛行機に乗るために、この日の最終バスで空港に向かう予定だった。
「なんで? やだ。もうちょっと飲もうよー。タクシーで行けばいいじゃん!」
激しい引き止めにあい、帰るタイミングを逃した。結局、明け方まで飲み続けてタクシーで空港に向かった。
“引き止められて、終電逃してタクシーで帰宅”、そんな日本での日常を思い出し、ぼくはタクシー内で思わずニヤついてしまった。
(文=JOJO)
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著者:JOJO
「今一番エロい日本人バックパッカー」。エロをテーマに世界一周中の複数SEX好き変態アラサー。「エロについては食わず嫌いせずになんでもトライしてみる」をモットーに、まだ見ぬエロを求めて世界を放浪中。
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