「三十路の出戻り娘と五十路の親父」は、妻の連れ子だった娘が実家に戻ってきたが、すでに妻は鬼籍に入っていて、自然の成り行きのように肉体関係を持った父と娘の歪な関係を描くストーリー。家の中だけでは飽き足らず、田んぼでも情熱的に愛し合う親子。ある日、娘に惚れた男がプロポーズにやってきたが、娘は父を選んで爛れた日常に埋没していく。親子関係を忘れて恋人のように乳繰り合う二人のセックスには禍々しさすら漂っている。
「場末の映画館の変態痴女と近親相姦」は、ピンク映画館を経営する男の元に、離婚した女房の連れ子が転がり込むところから始まる。「抱いていいから住まわせてくれ」と訴える娘は透き通るような肌の若々しいスレンダーボディーを誇り、仕事場である映画館の中でもお構いなしに積極的に男に跨って快楽を貪る。さらに映画館で男と交わる淫乱女の行きずりセックスも対比として描かれる。
「場末の映画館の変態痴女と近親相姦」（『女たちの昭和 好き者女たちの生きとし生ける日々…／女は卑しきもの、されど女体は愛おしき』より）
「美しい嫁・未亡人の嫁 我慢のできない夏」は早逝した弟の嫁と、妻子持ちでありながら肉体関係を持ってしまう男の物語。弟が病弱であったためにセックスレス状態で性欲が肥大した未亡人は、凄まじい淫乱性を剥き出しにして男に挑みかかり、接吻では唾液音を、セックスでは挿入音を下品に響かせて、女の喜びを謳歌する。セックス後も互いの性器を舐め合うほど禁じられた不倫愛に燃え上がる二人だったが、やがて二人の関係に終止符が打たれる…。
「美しい嫁・未亡人の嫁 我慢のできない夏」（『女たちの昭和 好き者女たちの生きとし生ける日々…／女は卑しきもの、されど女体は愛おしき』より）
「安アパート2階の昼下がりの情事」はボロアパートの2階で内職をしながら暮らす男の元に、家庭を持つ巨乳の妹が訪れ、ほぼ会話もなしにセックスをするところから始まる。女は暴力的におっぱいを振り乱しながらフェラ奉仕を行い、挿入後は全身全霊で肉棒の感触を味わいながら、「オマンコ！」「イク！」を狂ったように連呼しながらエクスタシーを連打。家庭のある妹は名残惜しそうに帰っていったが、続いて友人である男が女を連れて訪問。映画館でナンパした女とセックスしたいからホテル代わりに使わせてくれと部屋を借り、一期一会のセックスに燃え上がる。初対面とは思えないほど体の相性が良かった二人は、継続的な関係を約束して、男の元を去っていく。
「妾の白く美しく卑しき肉体」は夫婦同然の生活を送る血の繋がりのない姉弟の物語。姉は奉公先の旦那に見初められて、妾として生計を立てている。旦那が訪問する時は割り切れない気持ちを抱いて出かけていく弟に対して、姉は日頃から弟と愛し合う囲炉裏で鍋を振る舞い、マッサージや女主導のセックスなど濃厚サービスで旦那を歓待するのだった。
「妾の白く美しく卑しき肉体」（『女たちの昭和 好き者女たちの生きとし生ける日々…／女は卑しきもの、されど女体は愛おしき』より）
「夏真っ盛りの嫁いだ娘の色気」は、赤ん坊を寝かせ付けた後に熟睡する妻を強引に起こして、昂る夫がセックスを強要するシーンから始まる。目を覚ました妻は少しずつ声を高めていくが、いまいち乗り切れない様子で、一方的に夫がフィニッシュ。その後、夫は山に出かけ、妻は赤ん坊を背負いながら庭仕事を行う。そこに父親が遊びに来ると、妻は瞬時に好色そうな笑顔を浮かべて、赤ん坊を家の中に寝かせ付けると、野外で肌を重ね合う。二人は男女の仲で、日頃から近親相姦セックスを楽しんでいるのだ。二人は夏の日差しに晒されながら様々な体位を楽しむ。歓喜の表情を浮かべてアエギ声を漏らす妻の姿は、さっきまで夫と義務感のようなセックスをしていた時とは別人のようだ。
「夏真っ盛りの嫁いだ娘の色気」（『女たちの昭和 好き者女たちの生きとし生ける日々…／女は卑しきもの、されど女体は愛おしき』より）
「悪党と嫁と裏切りの哀愁歌」は、とある農村の家に、一人の男がやってくるところから始まる。到着した男は、家の前にいた女と目で合図すると、人目を気にしながらトウモロコシ畑へと移動する。そして虫の鳴き声が響き渡る中、それに負けないぐらい大きな嬌声を響かせて青姦を満喫する。実は男は刑務所帰りで、仕事が決まるまで兄の世話になろうとやってきたのだった。そして、お人よしである兄の目を盗んで、兄の嫁と不貞行為を楽しんでいたのだった。
「房総女にマラを見せるな！」の舞台はタイトル通り房総の漁村。主人公は一人娘を連れて漁師と再婚した淫乱女で、夫の漁が休みの時には朝から晩までセックス三昧。しかも男の気持ちが離れないようにと娘の体も男に与え、言われるがまま親子丼セックスに身を委ね、あろうことか親子で快楽を堪能する。しかし娘は彼氏ができて、父との関係を切りたがっていた。それを知った男は、娘の彼氏に嫉妬心を抱き、狂犬のような行動に出るのだった。
「今日も我慢できない貧乏人の女」は、犯罪に手を染めて目の前で夫が逮捕された女が主人公。貧乏な女は内職の仕事を与えてくれる男に股を開き、さらには同じアパートに住む男とも肉体関係を持っている。鬱屈した毎日を過ごす女だが、まるで男といる時だけが潤いとばかり、セックスでは表情を輝かせて快楽に耽るのだった。
「女子君子43才の下半身」の主人公は、体の不自由な娘を抱えた戦争未亡人。親子で山村の資産家に住み込み女中として身を寄せている彼女は、不幸な境遇を払いのけるように、旦那様に使える山番や使用人に性衝動をぶつける。そんな母の淫蕩な血を受け継いだ娘もまた、男たちに抱かれることで女の喜びを知っていくのだった。
「女子君子43才の下半身」（『女たちの昭和 好き者女たちの生きとし生ける日々…／女は卑しきもの、されど女体は愛おしき』より）
本作に収録されているエピソードの大半は季節が夏で、画面いっぱいに広がる田舎の風景は、この季節にピッタリだ。陰鬱なストーリーも多いが、大自然に同化してセックスを楽しむ男と女の姿は淫らでありながら生命力に満ち溢れている。
（文＝猪口貴裕）
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