「必要なのは卑猥感! 美しくあってはならない」昭和エロスを追及する孤高のAV監督・ヘンリー塚本インタビュー

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――あるインタビューで監督デビューする前に観ていた日活ロマンポルノの影響を口にしていましたが、他メーカーのAVを観ることはあるんですか。

「一切観ないようにしています。人の作品を見て影響を受けるのが嫌だし、独自の世界を描くためには、人の作品を見てどうこうというのはあってはならないと思うんです。FAの社員監督の作品は観るようにしていますが、それ以外は観ないですね」

――社員監督の作品はどうですか

「駄目だね」

――即答ですね(笑)。

「いくら勉強しろと言ってもダメだね。こればかりは感性と言うか、教えるものじゃないんですよ。現場で盗み取って、学ぶものじゃないと駄目なんですよ」

――今年に入ってAV業界は様々な問題が表面化していますが、それについて監督はどうお考えですか。

「あまりにも今のAVが軽薄でくだらないものに取り組み過ぎているから、舐められているし、馬鹿にされているし、下劣で下品で脳のない馬鹿馬鹿しい世界と見られている。だからこそ当局も取り締まりを強化したと思うんです。だから業界としては、ちょっと意識を変えて、軽薄な作品を世に発表することを考えてほしいんですよね。

 そういう作品が売れるのも問題ではあるけど、私の描く世界は心ある大人たちへのポルノなんです。これからも知性も教養もある大人向けのポルノを作り続けたいと思う。それは、ただただヌクだけのものではなくて、そこから感動を味わい、生きるって何だろう、セックスって何だろう、愛って何だろうと思わせるような、いろんなことを考える大人たちのためのポルノを私は作っていきたいですね」
(文=猪口貴裕)

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