――男性とのカラミもふんだんに盛り込まれていますけど、特に印象に残っているシーンを挙げていただけますか。
「男性器を見せつけられるシーンがあるんですけど、あんなに男性器をじっくり見つめたのは初めてでした。頭の中で『今見せつけられてる!』って思いながら盛り上がっていましたね。いつも恥ずかしいから、見てるようで見てなかったりもするんですけど、すごい見つめました」
――2年やってても男性器を見つめるのは恥ずかしいものですか。
「いつも恥ずかしいですよ~。時間が経つと関係なくなるんですけどね」
――ヘンリー塚本監督自身が出演して、電車内で涼川さんと見つめ合うシーンも印象的でした。
「目を見るって行為は、元から自分の中でも大事にしているんですよね。小さい頃から内向的で、あまり喋るのが得意じゃなかったのもあって、目で伝えようって気持ちが強かったんですよね。口ほどに物を言うじゃないですけど、目って何かしら伝わってくるじゃないですか。だから、目を見ていると、どう思っているか分かります」
――内向的なタイプには見えないですけどね。
「昔は写真を撮られるのも苦手で、人前に出るのも嫌でした。誰かがウチに来ても居留守を使ってました(笑)。電話も取れなかったですしね。ずっと、そんな感じだったんですけど、この業界に入って変わりましたね。今では撮られるのも好きですし」
――今年の『28回ピンク大賞』で助演女優賞と新人女優賞をW受賞しましたけど、そもそも演技は好きだったんですか。
「映画でもお芝居でも、演技を観るのは好きでした。ただ自分が演じるとはまったく考えていなかったです。今はAVのドラマ物でもピンク映画でも、演じるのは大好きですね」
――いつ頃から演技に目覚めたんですか。
「それこそ『溺愛 父ちゃんばいないと寂しか』の時ですね。それまでがっつりドラマってなかったですし、もともとAVにドラマがあるって分かってないぐらいでしたからね。『溺愛 父ちゃんばいないと寂しか』は、ちゃんとした台本もあって、すごく演じてて楽しかったんですよね。すごく好きなトーンのお話だったし、近親相姦がテーマなんですけど、私自身、父親のことが大好きなので入りこみやすかったですね」
――ファザコンってことですか。
「すごくファザコン!」
――過去のインタビュー記事で、おじさん好きと仰ってましたが、そこも関係してますか。
「完全に、そこから始まってますね。小さい時から父親のことを恋人だと思っていたので、『ママは敵!』ぐらいの感覚でした(笑)」
――女の子って、ある時期になると父親のことを避けるようになるじゃないですか。
「私はまったくなかったです。いつも手をつないで歩いてました。だから最近は愛人だと思われるんですよ(笑)。この話を電車のシーンが終わって休憩中にヘンリーさんにしたら『いいなぁ。俺も子供と手をつないで歩きたいな』って仰ってました」
――おじさん好きって何歳でもOKなんですか。
「私は年齢にまったく興味がないんですよ」
――じゃあ、気が合えば同世代や年下でもいいんですか。
「でも見た目がおじさん好きなので、あんまり見た目が若いと…。わりと横に恰幅のいい人が好きなんです。テレビで細くてカッコいい人を見ると、目の保養だなとは思うんですけど、実際に付き合いたいとは思わないんですよね」
――おじさんはしっかりしてるから好きってことですか。
「いや、逆にダメなおじさんが好きなんですよ(笑)。たぶん『私がいなきゃ何もできないんだからぁ!』って言いたいんでしょうね」
――若者特有のガツガツくる感じも苦手なんですかね。
「それもありますね。あと私自身、だらしない自分もいるわけで、そこを一緒に見せていける安心感もあります」
――最後に改めて『エクスタシー ふまじめな好き者女』の見どころを教えてください。
「私のできる限りヘンリーワールドを体現したと思っています。性欲って誰にでもある衝動なもので、そこに真っすぐな、ある意味、純粋だけど、すごくひねくれてもいる女性で。グッと惹きこまれる役柄だったので、そこを楽しんでいただきたいですね」
――7月17日(日)には本作のリリースを記念して新宿ネイキッドロフトでトークイベント『きっと、絢音のせいじゃない』を開催するんですよね。ほかの出演者はライターの安田理央さんのみという、とてつもなくプレッシャーのかかる単独イベントです。まさに安田さんはおじさんじゃないですか(笑)。
「理央さんは喋っていて安心感があるし、たまにお父さん感も出してきますし、理想的なおじさんですね(笑)。単独イベントなので不安も大きいんですけど、いっぱいお酒を飲んで楽しいイベントにしたいです」
(文=猪口貴裕/写真=カズヒロ)
■涼川絢音Twitterはコチラ
■FAプロ公式サイト
http://www.fa-pro.com/