確かにこれまでも、さまざまなコスチュームが用意されたコスプレソープや美熟女専門ソープなどはあった。それでもプレイ内容事態はオーソドックスなものだったのだ。
泡姫はドレスを着てお出迎えし、泡踊り(ボディ洗い)からの入浴、マットとベッドでのプレイだけあればいい。そう思っている古くからの吉原ファンにとっては、新興的なサービスは邪道にも映るようだ。筆者としては、プレイの幅が広がることは望むところだが…。なぜ吉原にこういった流れができたのだろうか。
ひとつは、新規客の開拓が目的だろう。新しさを取り入れることで顧客を増やすことは、ここ最近の客入りが寂しい吉原にとっては歓迎すべき企業努力だ。そしてもうひとつは、来るべき2020年に備えての対策なのではという声がある。
2020年といえば、言わずもがな東京オリンピックが開催される年だ。この時、東京からソープランドが消えるのではないか、という噂が風俗業界でまことしやかにささやかれている。そして、その噂の元には、大阪の前例があるようだ。
現在、大阪にソープランドはない。それは、1990年に開催された『国際花と緑の博覧会』(通称:花博)に起因する。この時、海外からを含めて多くの観光客の来阪が見込まれ、風紀の乱れを整えるために花博開催目前に警察が浄化作戦を行い、大規模な摘発を決行。梅田を中心とするキタ、難波を中心とするミナミといった繁華街はもちろんのこと、大阪全域からソープランドは消えた。
その後、建物自体は残ったため、その跡地を利用したほかのジャンルの風俗店が誕生することになった。現在の大阪にマットヘルスが多いのは、その建物の内装を大いに生かしているからだ。ちなみに、ベッドが置いてあるフロアよりも、一段下がったところに扉のない洗い場があることがその名残りで、これはほかの地域のファッションヘルスでも見ることができる。
こういった前例から、万が一に備えて吉原が他ジャンルへの鞍替えを見越しているのではないか、という見方が生まれた。つまり、2020年の吉原はマットヘルスの聖地に変わるのではないかという話だ。もちろん、現時点ではただの噂でしかないが…。
当たり前ながら“今の吉原は今しか楽しめない”。時代によってどう変貌しようと、そのスタイルに合わせて吉原を楽しむのが一番なのだろう。
(文=子門仁)