「このドラマの楽しみ方は、節々に表れる“現実とリンクさせた強いセリフ”と“パブリックイメージの壊し方、もしくはイジり方”にあると思います。たとえば、主演のふたりが言い争うシーンで、松岡さんが伊藤さんに向かって『売れ方、教えてやるよ』といった強い言葉を投げつけたりします(笑)。これは、松岡さんがめちゃくちゃ売れっ子である“現実”と、絶対に言わないセリフという“虚構”に、“売れたという実感はある”という“ファンタジー”をまぶすカタチと言えます。
松岡さんの“好感度が高い”や“いいコ”というパブリックイメージも、原作者の清野さんに『八方美人』とディスらせた上で、伊藤さんの視聴者の声を代弁するようなスタンスの発言を褒めることで壊してみせます。伊藤さんの場合、松岡さんのようなできあがったイメージがあるかといえば、まったくない。そこが女優としての演技力の生かしどころで、ウソなのか本当なのか分からないように煙に巻ける。だからこそ今回のキスシーンも、演出がどこまで入っているのか、もしかしたら完全に女優任せなのか…といった視聴者の想像の余地が入り込み、結果『子役だと思っていたらすっかりオンナに…』的な楽しみ方にもつながるわけです(笑)。とはいうものの、実際には困惑している視聴者も多いと思いますがね(笑)」(ネットライター)
実際のプライベートでも仲がいいことから、松岡の相手役に起用された伊藤。ドラマでは言い争うシーンも多いが、距離の近さを感じさせるふたりからは和やかな雰囲気も伝わってくる。松岡との関係性が十分だからこそ、伊藤も思い切り素の自分を“演じる”ことができるのかもしれない。
そんな伊藤は2003年ごろから子役として活動し、国仲涼子(36)主演の『みんな昔は子供だった』(フジテレビ系)や天海祐希(48)の『女王の教室』(日本テレビ系)といった連続ドラマに出演。子役として順調にステップアップした彼女は、昨年放送された『トランジットガールズ』(フジテレビ系)で佐久間由衣(21)と共に主演を務めた。連続ドラマ史上初めて“ガールズラブ”をテーマとした作品で、伊藤と佐久間はラブシーンに挑戦してネットでも大きな話題になった。
「子役時代の伊藤さんといえば、見ているだけで心が痛くなってくるイジメられっ子に扮したかと思えば、陰湿なイジメを平気でしてしまう女の子を演じるなど、幅広い演技力で業界内でも有名でした。ハスキーボイスも印象的で、個性的な役柄に起用されることが多かった。
同じ事務所にはでんでんさん(66)や甲本雅裕さん(50)、柄本佑さん(29)といった名バイプレイヤーがそろっていますので、伊藤さんも個性派女優として邁進しそうです。ただ、最近では『どんどん美人になっていく』とビジュアル人気も高めており、ファンの中には正統派の美少女役を期待する人も多い。そういった声を反映してか、初主演映画となる7月公開の『MY NICKNAME is BUTATCHI』では片思いに揺れる女子高生を演じます」(芸能ライター)
来年公開の映画『獣道』でも主演に抜擢されている伊藤。これまでの彼女は主人公を引き立てる役が多かったが、今後はメーンどころで見かけることも増えそうだ。
(文=aiba)