服を脱いだナタリーのアソコには毛がなかった。すると彼女は、「だってあなた、ノーアンダーヘアじゃないとダメなんでしょ?」と言ってきた。
グレゴリーがくれたプレートには、英語と日本語で対応できる人という要望のほかに、「私は日本からやって来たパイパン好きの変態です」と書かれていたのだ。
東洋の島国からやってきた変態を前にすれば、確かに女性たちも笑うしかなかっただろう(笑)。
それはさておき、ナタリーの体操選手のように引き締まったボディに触れ、いよいよ…となった時、部屋のドアがノックされた。
それに対応した彼女が、「困った」を連発している。ロシアでは売春が禁止されていて、3,000円程度の罰金を払えば許されると言ってきた。つまり、私に払えということだ。
まぁ、こうなると払わないことにはコトが進まない。ナタリーは「誰も懲りないから、売春が盛んなのよ」というだけだった。
騙されたことに気付いたのは、モスクワに戻り、グレゴリーにこの一件を話した時だ。彼は「でも良かったじゃん、ロシアンマフィアじゃなくて」と大爆笑した。マフィアだった場合は、その10倍は狙われるのだという。どうやら私は、あの売春宿のオーナーの小遣い稼ぎの標的になったようで、グレゴリーいわく、「よくあること」のようだ。それならば、事前に教えてくれればいいのに…。
その後、グレゴリーと夕飯を食べ、ホテルに戻ることにした。宿泊先は観光客が泊まる有名なホテルだったが、その周辺に、いかにも売春婦といった感じの女性が立っていた。そんな様子を眺めていると、たどたどしい英語や「ワタシ、ヤスイ」とカタコトの日本語で交渉してくる女性が数名現れた。
昼間のヒッチハイク式売春とは違い、モスクワの中心地だからか、2万円ほどの金額で交渉された。彼女らの中から、服の上からでも分かるスレンダーボディに、天使のような美貌の名もなき女性を選び、自分の宿泊する部屋へと招き入れた。
その女性はボディと同じくアソコも引き締まっていた。激しく腰を動かされ、ものの3分もしないうちに終わってしまった…。
それはそれで仕方ないことだと満足していたが、その女性は事後もなかなか部屋から出ていかなかった。外国では、コトが終わると、アッサリと帰ってしまう女性が多い。だから、かなり意外だった。しかも、会話があるわけでもない。なぜなら、彼女は商売用の英単語くらいしか知らず、まったく会話が成り立たなかったのだ。
そうするうちに、部屋の電話が鳴った。相手はかなり興奮しているようだった。売春婦を部屋に招き入れたことを、フロントが怒っているのだと思った。しかし、よく聞けば英語だ。
「ナウ、ユー、ウィズ、ウーマン。キル・ユー。ユー、ペイマネー、フォー ディスレディ」
この時、私の頭の中に、数時間前にグレゴリーから聞いたロシアンマフィアの話がフラッシュバックした。
“ハメられた”と同時に、“殺されたくない”と思った。あわてて彼女に5万円ほど渡すと、あっという間に部屋から出て行くのだった。
おそらく、彼女の仲間は、コトが終わる時間を見計らって電話したのだろう。しかし、私があまりにも早かったので、彼女も困ってしまい、部屋に留まるしかなかった…と思った。