言葉もロクに通じない、風習も違う国を旅をする…。その国で出会う異文化は刺激的で、エンターテイメントでもある。そして、男として気になるのが『風俗』だ。異国の地で風俗店に飛び込むことは、スリルがあるからこそ虜になってしまう。
これまで世界中の風俗で酷い目に遭ったことなども書いてきたが、思い返してみれば「オイシイ思い」をしたことのほうが圧倒的に多い。
だからといって、「どれが一番?」と聞かれると困ったりもする。その理由のひとつに、基本的に海外では風俗のジャンルが少ないことが挙げられるのだと思う。
日本の風俗は、ソープランド、デリバリーヘルス、ファッションヘルス、イメージクラブ、SMクラブ、オナクラと細分化されているが、海外では、街で声をかけたりかけられたりする街娼タイプや、バーなどから連れ出すなどタイプの違いはあれ、最終的な目的はひとつしかない。つまり、入口は違っても出口は同じで、同じ売春という到達点になってしまう。言い方は悪いが、似たり寄ったりとなってしまうわけだ。
それでも「日本と似ている」と思わせる国もある。それが、ドイツだ。
この国を訪れたのは、1997年の秋。仕事の関係で半月ほど中央ヨーロッパに滞在した時のことだ。ヨーロッパは合法的に売春が許されている地域が多いのだが、以前チェコ共和国でヒドイ目に遭った経験から、警戒心がないわけでもなかった。しかし、チェコ共和国で同じく騙された同僚曰く、「ドイツにはパラダイスがある」のだという。
向かった先は、ドイツのフランクフルト(正式には『フランクフルト・アム・マイン』)。おそらく、日本ではソーセージのイメージが強いだろう。ヘッセン州に属する郡独立市だが、ドイツを代表する都市のひとつとして知られている。名前の由来は、フランク人と呼ばれる人々が徒渉してきた地という意味だとか。このフランク人の語源は、勇敢な人や自由な人という意味で、英語で気さくな性格の人のことを指す『フランク』の語源になっているという。
そういうことであれば(笑)、街を歩く女性も私のナンパに気さくに応えてくれるのではないかと期待した。ところが、声をかけてみたもののドイツ女性が素っ気ないことに落胆するしかなかった。“私にはパラダイスが待っている”と自分に言い聞かせ、寄り途はここまでにして同僚と楽園を目指すことにした。
ちなみに、ドイツも数あるヨーロッパの売春公認国のひとつだが、もっともポピュラーな形態はストリートガール、つまり街娼だろう。その他には、アパートのような建物の部屋で女のコが待っている“ちょんの間”のようなエロスセンター、終演後に客席で枕営業ありのストリップクラブ、日本でいうところの回春マッサージのようなエロティックマッサージ、それに、デリヘルのようなエスコートクラブなどがドイツ風俗の一例となる。フィニッシュに決定的な違いはあるが、ジャンルの多い点では日本に似ている。
そして、“ドイツ風俗の頂点”と呼ばれるのが、同僚がパラダイスだという『FKK』(※)だった。
(※)ドイツ語でヌーディズムを意味するFreikorperkultur、その頭文字からFKK。
とはいうものの、実はこの同僚にも「ドイツ版のソープランドって感じみたい」といったレベルの情報しかなかった。つまり彼は、FKKという存在“しか”知らなかったのだ。
知らないのに誘ったことを少し責めるように問うと、「一人で被害を受けるよりは精神的ダメージが少なくなるから」とポツリ。少し険悪な雰囲気になったが、辿り着いた建物の衝撃で、そんなことは消し飛んでしまった。
“ソープランドのような”に引きずられていたため、どこか吉原にあるような建物を想像していた。しかし、目の前にあったのは、まるで高級スパ施設のような豪奢なものだったのだ。
中に入ると、そこには一流ホテル級の受付デスク。同僚が予約してある旨を伝えると、バスタオル、ガウン、水着、サンダルを渡された。
ドイツ語が分からないため英語の説明書を借りるが、文法がメチャクチャだった。結局、単語をつなぎ合わせて理解した。12時間の間、館内のスパやジャグジー、プールは入り放題で、レストランでの食事は食べ放題、女性との交渉は各自で…ということであるようだ。
受付で8,000円ほどを支払い、まずはロッカーで水着に着替えてガウンを羽織る。その後、館内を散策することにした。とにかく驚いたのは、その広さだった。
ウェイティングバーに、温水プールやさまざまなタイプのジャグジー風呂(庭にまで!)、レストランにティーサロン。長い廊下の両サイドに個室が数十室あり、本当に高級ホテルそのものだ。
ただ、リゾート施設と明らかに違うのは、いろんなところにキワドイ水着やランジェリー姿の女性がいて、私たちに手を振っていたことだ。つまり、彼女たちが交渉相手なのだ。
同僚と待ち合わせ時間と場所を決め、各々FKKを楽しむことにした。いたるところにいる女性たちは、相手がいなくては稼ぎにならないからか、やたらと積極的だった。歩いているところに背後から手を組んできて「お話しましょう!」と絡んでくるのは序の口で、ジャグジーでトークをしている最中にビキニを外して生パイを密着させて「私でどう?」と迫ってくる女性まで…。さらには、湯の中で私の水着を下ろして軽く手コキをしながら誘ってくる猛者も!
まさにパラダイスといえるやり取りが1時間ほど続き、決心した私は、ジャグジーで積極的にキスしてきたアンという25、6歳のドイツ人女性と交渉することにした。
「1回、100ユーロ」とアンは言ってきた。日本円にして1万円とちょっとだ。ちなみに、滞在時間内であれば、交渉相手や交渉回数は自由で、何度でも発射してもいいことになっている。もちろん、アンと二人きりの時間を楽しめるのであれば、この値段で異存はなかった。
ということで、交渉は無事成立し、腕を組んでラブラブな感じで彼女が案内する部屋に入った。中は3畳ほどの広さで、大きめのベッドにシャワーブースがある程度だった。
シャワーを浴びてベッドへ向かう。恋人気分でイチャイチャするぞ!と勇んでいたが、アンの方はさっきまでの積極性がウソのようにテキパキと全身リップし、フェラで勃起をさせると、事務的に乗っかってきた。そして、ドイツ語で何やら唸りながら激しく腰を動かし、あれよという間に発射することになった。
彼女たちにすれば、人数を稼がないことには仕方ないのだろうが…。コチラとしては、正直なところ寂しい気持ちでいっぱいだった。しかも、「もう用済みよ」と言わんばかりに部屋から出て行くように促されることに。失意の私は、ふたたびジャグジーゾーンを彷徨うことにした。
しばらくすると、「ニホンジン?」とカタコトの日本語で、スレンダーなブロンド美人が声をかけてきた。彼女は日本語を話せるわけではなかったが、英語は多少できるということで、まずは、ジャグジーでトークすることにした。
ニーナと名乗った女性は、年齢は22歳で、普段はフランクフルトの大学に通っているという。小遣い稼ぎでFKKにいるようだ。こんなブロンド美人に「あなたのことをもっと知りたくなった」と言われれ、潤んだ瞳で見つめられれば、コチラも「ミートゥー」というしかない。しかも、「70ユーロでいいよ」とのことだった。
ジャグジーで火照ったカラダを冷ます間もなく、ニーナはいきなりベッドに誘ってきた。そして、抱きついてキスしたり甘えてきたりと、まるで恋人のような時間となった。インサートを促しても、「まだ時間があるわ」と、さっきのアンとは真逆の対応だ。
お互いの感じるところを責めあい、テンションも大いに上がり、私の気分も股間も最高潮となった! それを確認したニーナが、ゆっくりと楽しむように腰を動かして絶頂に…。
コトが終わっても、ベッドの上で恋人同士のようにイチャイチャしていた。するとニーナが、「ほかの女のコとも寝たい?」と聞いてきた。つまり、「私はもう一回相手できるけど、アナタは?」ということだった。
せっかくのFKKならば、たしかにいろいろな女のコと楽しむべきだったのかもしれない。しかし、この時、私の答えは決まっていた。
「ニーナと一緒にいたい」
「ダンケ!(ありがとう)」と微笑んだ彼女に誘われるまま、第2ラウンドに突入した。さすがに本日3回戦目ともなると、勃起するまでに時間がかかった。それでも、彼女の献身的なフェラもあり、私が上になっての合体で無事に発射した。
ニーナへの支払いにチップをはずんだ。そのことがあったからか、別れ際に「また会いましょう」とニーナはキスをしてきた。その約束は果たせないまま、現在に至ってしまった。思い返してみれば、どうやら「もう一度、行ってみたい」という意味で一番楽しかった海外風俗は、このフランクフルトのFKKで決まりのようだ。
(文=美田三太)
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