その団員は、男女を問わず腕に「K.C」という刺青を施し、恐喝や引ったくりなど荒っぽい手口で犯行を繰り返した。
ほんの数年前まではお嬢様育ちだった少女が、男に捨てられたショックとはいえギャング団の女ボスとは、なんともすさまじい変身ぶりである。
当然、そんな派手なことをしていれば、警察が黙っていない。さすがに取り締まりが厳しくなったため、ケーシー団は東京から撤退。ボスのてるは横浜に逃亡し、本牧のチャブ屋を転々とし、住み込みで働くかたちで隠れていた。
ここでおとなしくしていればよかったのだが、あるチャブ屋(日本在住の外国人などを相手にした宿の俗称)で店主の金品を盗んでしまい、それが発覚して警察に連行されることとなったわけである。
ちなみに、少女や女性の不良やギャング、犯罪グループといった事例はとくに珍しくはない。大正10年には熊本で少女グループ「紫団」が派手に男漁りを繰り返していたというし、大正13年には東京の10代OLで構成する「ハート団」ボスの19歳女性が逮捕される。この女ボス、飛びぬけた美人だったといわれている。昭和10年には大阪の少女グループ「六法組」が検挙。色仕掛けで男を誘っては、刃物で脅したうえに全裸にして暴行して金品を奪っていた。
ほかにも、男顔負けの武闘派集団や、10代少女コンビの金庫破りなど、女性による事件や犯罪は大変に多い。機会とご要望があれば、またご紹介していきたい。
(文=橋本玉泉)