【世界風俗探訪・チェコ共和国】 ブロンドの妖精が残したお土産・前編


 実は前述のように、ヨーロッパ諸国から人が流れてきていて、当時のチェコは生活の糧を得るために売春宿に身を投じる女性が少なくないという話を聞いていた。しかし情報は少なく、気持ちばかり焦る。

 初日の夜、現地のスタッフによる歓迎会に同僚と共に呼ばれた。そこでウォッカを飲まされ、その後の記憶はない。唯一、同部屋の下戸である同僚が「遊びに…行けないよね?」と聞いてきたことに力なくうなずいて力尽きたことは覚えていた。

 2日目、二日酔いでガンガンする頭を引きずりながら仕事をこなし、夜が来るのを待った。観光名所の聖ヴィート大聖堂などがライトアップされる頃には頭痛も消えて、街へ繰り出す用意をすることに。同僚を誘ったところ、冴えない顔をして「今日はやめておく」と言われてしまった。

 仕方なくひとりで新市街を歩き、まずは腹ごしらえをしようと思い、カウンターバーに入った。グラーシュといった名前のシチューに、揚げたソーセージにカレー粉をかけた料理を肴にビールを飲んでみた。

 ほろ酔い気分になっていると、背後から女性に声をかけられた。パッチリした瞳が印象的なブロンド美人だった。どうやら「隣に座っていいかしら?」と言っているらしい。席はほかにもあるにもかかわらずだ。

 私が返事をする前に隣に腰を下ろした彼女は、横から見ると鼻筋がクッキリと通っていて、『サイボーグ009』に登場する003のフランソワーズに似ていた。20代前半くらいだろうか。

 それにしても美しかった。当時の私は海外経験が乏しかったこともあり、「世界にはこんな美人がいるのか」と驚いた。外国人女性に慣れていないこともあって、その美しさにはただただ緊張するだけであった。

 エラと名乗った女性は、私が食べていたカレー味のソーセージを見て「カリーヴルスト!」と喜んだ。彼女が言うにはこれはドイツ料理で、「半月前に私もドイツのベルリンからやって来たの」と切り出してきた。

 彼女はコチラに話を伝えようと必死で、私の顔を覗き込むようなカタチになり、必然的に視線が合うことに。そのまっすぐな瞳は、何とも言えない魅力にあふれていた。

 エラがプラハにやって来た理由は、芸術の勉強のためとのことだった。美人なのにジーンズに皮のコートという地味な出で立ちで、どことなく苦学生という雰囲気もあった。

 お互いにカタコトの英語とジェスチャーでコミュニケーションを取り始めて30分が過ぎた頃、エラが「私、お金があまりないの」とつぶやくように言った。そして立て続けに「デートしない?」「もちろん、セックスもOK」と、15,000チェコ・コルナを要求してきた。日本円で1万円以下の額だった。

後編に続く
※2016年1月21日公開予定

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