華道家・紅蓮氏が主催する「花と美少女のイラストサイト『華道部。』」から派生した写真集が、12月26日に一迅社より刊行される。
華道というと、堅苦しい習い事などのイメージがどうしても思い浮かぶが、近寄りがたい印象のある華道の世界の可能性を広げたいという考えを持っている華道家・紅蓮氏は、これまでも、白金台瑞聖寺(国指定重要文化財)での個展や、横浜三溪園旧燈明寺本堂(室町時代建築 重要文化財)にて、原画家・イラストレーターである、みさくらなんこつ氏との展覧会などを行ってきた。
今回の写真集では、「花-cosplay-美少女」というサブタイトル通りに、国内の人気コスプレイヤーを中心に、アイドルユニットや声優などJポップカルチャーの担い手の美少女たちがモデルとなり、「華道」と「コスプレ」というふたつの日本的文化をミックス。Jカルチャー好きな海外のあらゆる層にもアピールできる写真が満載された一冊だ。
放課後に制服姿で部活動にいそしむ姿や、自室を思わせる室内や美少女には不釣り合いな地下室風の空間などで花と戯れる姿など、「花」と「美少女」がダイレクトに目に飛び込んでくる写真にさまざまな妄想をかき立てられる。
また、ヲタクを自称する紅蓮氏が熱望した、『コープスパーティー』の原作者・祁答院慎氏とのコラボが異彩を放つ、遊心満載のページも見どころのひとつだ。ここでは、美幼女と花という組み合わせの禍々しい光景が切り取られている。
「モデルのコスプレイヤーをイメージして、撮影直前に生けた」という紅蓮氏が手がけた作品たちは撮影終了と同時に、すぐに解体してしまったというほど、ライブ感にあふれた現場だったらしい。
発売記念イベントへの出演も決まっている、モデル・コスプレイヤーのるしゃさんに、ラジオ収録の合間をぬってインタビューを行った。
──今回の写真集に関わられた経緯は?
るしゃ「紅蓮さんの個展でメインビジュアルのモデルをやらせていただいて、今回の写真集にお声がけしていただいたんです。写真集をつくる際に、モデルをたくさん使いたいので相談にのってほしいとも言われて、今回モデルとアドバイザーとして関わらせていただきました」
──写真集のテーマを聞いていかがでしたか?
るしゃ「華道家さんて色々なことをするんだなぁ、というのが第一印象でした。写真集が紅蓮さんとの初めてのお仕事だとしたら、まったく想像がつかないものだったと思うんですけれど、実際にご一緒させていただいたことがあるので、安心してお任せしました」
──ご自身とお花とを一緒に撮るということにどんな興味がありましたか?
るしゃ「元々、紅蓮さんの世界観が好きだったので、そこは完全にお任せしようと思っていて、コンセプト的に、自分のことを上手く使っていただけたら嬉しいな、という気持ちでした」
──撮影現場の感想は?
るしゃ「衣装が大変でした(笑)。当日ご用意していただいた服のサイズが合わなくて、撮影が出来なかったらどうしよう、と。無事に撮影が出来てよかったです(笑)」
──実際に、生けられた花を目の当たりにしたときの感想は?
るしゃ「プロの方が生けたお花に圧倒されましたね。実際に、紅蓮さんとのお花と一緒に撮るのは初めてだったし、私をイメージして生けていただいた花だとおうかがいして嬉しかったですね。その中で、日本刀に薔薇が巻き付いたものが出てきて、紅蓮さんの中の私のイメージってどんなのなんだろう? と思ったり(笑)。でも、あの薔薇の刀が一番気に入ってます。もしも、他のモデルさんがあれを持って撮影していたら、ヤキモチを焼いちゃうくらい(笑)」
──花へのイメージって変わりました?
るしゃ「めちゃくちゃ変わりました! これまで、花にあまり関心がなかったというか、むしろ嫌い? ぐらいの気持ちだったんです。花を見て心を動かされたこともなかったし、花束を頂いたこともあるんですけれど、気持ちが無でした。紅蓮さんと関わらせていただいてから、お花が綺麗だと思えるようになったんです。女子力じゃないですけど、お花っていいなと思えるようになって、価値観がガラッと変わりました。ちょっとした時にお花屋に寄ったり、お花っていい匂いがするんだ、って」
──それは、だいぶ変わりましたね(笑)。るしゃさんは普段はどのような活動をされているんですか?
るしゃ「モデルのほかにも、最近はJOJO広重さんや大槻ケンヂさんと『初音オーケン階段』バンドをやらせていただいたり、個人でもバンドで歌っていて海外でも活動しています」
──ずばり、今回の写真集に関わられて、いかがでしたか?
るしゃ「私、美少女が大好きで、こうやって美少女ばっかりを取り上げて、そこにお花の要素が加わったものを今まで見たことがないので、個人的にも凄く写真集が楽しみにしています。ぜひ、お手にとっていただきたいです!」
美少女たちの可憐さと、日常の中に潜む花とコスプレという一種の倒錯的な世界観を満喫できる写真集で、新しい世界を見てみるというのはいかがだろうか――。
■『華道部。』イラストサイト
http://kadoubu.cutegirl.jp/