風俗ライターを生業とする身として、さまざまな“風俗街”と呼ばれている地域に足を運んできたが、一か所だけ未開拓の地域があった。それが、滋賀県大津市の雄琴だ。
ご存じの方も多いだろうが、神戸の福原と並ぶ関西屈指のソープランド街である。今まで行かなかった理由は個人的なもので、大阪・日本橋のM性感店にお気に入りの痴女がおり、関西方面となると、ついついそちらへ足が向いていたからだ。ところが、その痴女が寿退店し、祝福と悲しみの涙を流すことになった筆者。彼女の残り香を感じてしまう大阪は、しばらく遠慮しておこうとなった。
しかし、筆者の股間はわがままで、モヤモヤする日々を送り、そこに浮上したのが、「そういえば行ったことがなかった」雄琴であった。
改めて雄琴のソープランド街について調べてみると、この地に第一号になる店がオープンしたのは1971年(昭和46年)と、筆者とほぼ同世代である。当時は田んぼしかなかった地域だったそうだが、風俗店を新規で営業をできる“禁止除外区域”だったこともあり、全国の経営者が集うようになったとか。
琵琶湖西岸のほとりに位置する雄琴自体は、元々温泉街として町の経済を支えていたそうだ。しかし、近年になり、風俗街のイメージが定着していることもあって、地元住民の呼びかけで雄琴を『おごと』と表記するようになり、JRの湖西線の駅名も『おごと温泉駅』に改称された。
実際に訪れた駅のローターリーにある観光地図看板には、ソープランド街についてはいっさい触れられていなかった。看板を眺めていると、背後から声をかけられた。今回の旅でお世話になるS氏だ。彼は以前、関西の風俗情報誌の編集者をしており、その時に知り合った。現在は違う業種に就いているが、雄琴を知り尽くしていることもあって心強い味方である。「担当していた5年前で時計は止まってるけどね(笑)」とのことで、まずは彼自身も周辺を調べたいと車を走らせた。