ところがこの奥さん、我慢がならないと言いつつ、「あやまちをした可哀想な人として、夫をいたわり女と別れるのを待つのが妻としての道でしょうか?」などと相談している。人がいいというよりも、追い詰められてどうしてよいのかわからなくなっているのであろう。
これに対して、回答者の女性は、まずは夫の言い分を「得手勝手な世迷言」と吐き捨てている。
だが、解決方法として、不倫相手の女性に同情し、子供の養育方法を相談した上で、夫と手を切るように尽力せよと指摘している。
なんとも優等生的な回答であるが、天下の「朝日新聞」の企画とあれば、まあ仕方ないといえなくもない。
しかし、実際にはそんなに事がうまくいけば誰も苦労しないわけである。とくに不倫相手が妊娠しているとなれば、修羅場は避けられないだろう。
※画像:「東京朝日新聞」昭和10年10月21日より
それにしても、「オレが処女とセックスできなかったのはお前が悪い」と奥さんに言い放つとは、それだけでも男としての小ささ、つまらなさを自ら告白しているようなものではなかろうか。こんな器の小さい男では、仮に離婚して若い不倫相手と一緒になったとしても、うまくいくはずはなかろう。そういう事例は、ちょっと探せばいくらでもある。かく言う筆者も、そういうケースを何度も見聞きしている。世の若い男性諸氏、さらに若い女性各位は、くれぐれもご用心あれ。
(文=橋本玉泉)