するとウーさんは、「実はココ、アダルトグッズ工場なんですよ! 中でエッチなものを作ってますよ、ウヒヒ」といやらしく笑った。その後、“エッチなもの”を売っている場所として、上海の中心地ともいえるシューホイのアダルトグッズショップへ連れていってくれた。その店は商業ビルの一角にあった。
どうやらウーさんは、「もう、中国、固くないよ! エロいよ!」と伝えたかったようだ。それならばと、単刀直入にウーさんに風俗について聞いてみる。すると、「中国ならではの風俗があるヨ」と言い、さらに「行くヨ!」とノリノリで誘ってきた。
到着した初日で疲れていたことや、私の勝手なイメージで怖さもあり、正直気乗りしなかった。しかし、翌日からの仕事のスケジュールを考えると、“遊ぶなら今”と判断した私は、ウーさんに案内をお願いすることにした。
ウーさんはニコニコしながら車を走らせ、こちらの「何が“中国ならでは”なんですか?」という質問に対しては、「まぁまぁ」とはぐらかす。そして、20分ほどで着いたのは、日本でいうところの健康センターのような施設だった。おそらく『サウナ』だろう。
説明すると、中国や韓国におけるサウナとは、日本のものと似て非なるものだ。風呂やシャワーがあるのは日本と同じだが、その後、女の子を案内されて個室で…という流れとなる。「その通りヨ。それを知ってる美田さん、スケベでしょ!」と笑うウーさんは、このサウナの常連なのだろう。
その施設の入り口は、本当に営業しているのか不安になるような薄暗さだった。警備員がウーさんの顔を見た途端に気さくに挨拶し、我々は中に案内された。私は外国人だからと800元(約15,000円)取られたが、ウーさんは300元ほど安かった。彼の料金を負担する身として有難くはあったが、海外では毎度のことながら、少しだけ解せない(笑)。
館内では、ウーさんに教えてもらった手順に従って、まずは一人でシャワーを浴びる。その後、休憩室のような部屋に通されたが、そこは一部がマジックミラーになっていた。鏡の向こうにひな壇が作られた部屋が見え、10人程度の女の子が座っていた。まるで、都内によくある出会い系カフェのようだった。
先に部屋にいたウーさんが近寄ってきた。「美田さん、好きな子、選んで。でも…」と始まったのは、それぞれの女の子の紹介だった。それは「ウーさん、アンタ、どんだけ遊んでるの?」と言いたくなるほどの詳しさで、呆れつつも助かった。結局、私はウーさんがイチオシした『静』というネームプレートを付けていたスリムな二十歳前後の女の子を選ぶことにした。
部屋を出てプレイルームに向かう廊下で、彼女は「ジン」と名乗った。中国語で『静』という字は、そう読むようだ。ちなみに年齢は27歳で、そのことに少し驚いた。それほど、あどけなさが残っていたのだ。
そのジンちゃんに案内された部屋を見て、さらに驚いた。部屋には本当に何もなく、ガランとしていた。もちろん、このような風俗の目的は決まっているので、極端なことを言えば、ベッドがひとつあれば成り立つ。しかし、そのベッドすら部屋にはなかった。そして、布団もない。天井からはカーテンのように布がかかっているだけ。これは床で…ということなのか?