そして、この考えに賛同したいずれも10代の少女たち7~8名は、「小鳥組」なるグループを結成。メンバーのシンボルとして、前髪をカールし、バスケースのストラップをカラフルなものにするなどの体裁を整えた。
さらに、日々の活動としては、自分の知人男性や、あるいは彼氏までも会員同士で紹介しあったりしていたらしい。あるいは、新宿あたりの喫茶店などでたむろしている若い男を物色し、気に入った男性がいればアプローチする、あるいは誘われるままに男についていくといったことを続けていたとのことだ。
こうした事実を確認した四谷署は、そのほかの小鳥組メンバーを呼び出して事情聴取するとともに、学校や保護者に対しても厳重に警告したという。この時点で、小鳥組のメンバーは15人程度だったらしい。
警察の事情聴取によれば、メンバーの少女たちの活動はかなり熱心だったようで、どの少女もかなりの数の「恋愛遊戯」経験を積んでいたらしい。数え切れないほどの男性と接触した者がほとんどで、なかには「これまで50人くらいの男性と関係した」と答える少女もいたという。
こうした出来事について、「珍しいケースだから新聞記事になったのだろう」と指摘する方がいらっしゃるかもしれない。だが、この手の記事は、戦前の新聞を見ると結構頻繁に登場する。時には「現代の女学生」などといったシリーズを特集し、こうした「恋愛遊戯」にふける少女たちの実態を報じる記事を連載するケースもある。それらを読むと、男女交際だけでなく、同級生や女教師とのレズ行為などまで流行していたとの内容もある。
また、少女だけでなく、20代30代、さらにそれ以上のご婦人たちが「恋愛遊戯」に熱心だったという記事も散見する。裕福でそれなりに地位のあるな家庭の主婦たちが、やはりグループを作って不倫にいそしんでいたという報道など、とくに稀有ではない。
要するに、いつの時代も、誰もがセックスには熱烈な興味と関心を抱いていたというわけであって、今も昔もそれほど変わりがあるというわけではなかろう。人間の中身は、そんなに急に変化するものではないようだ。
(文=橋本玉泉)