これは、あくまでも筆者個人の意見であるが、判決文を作成した人物は、実際にTSミュージックでのショー、いやストリップそのものを見たことはないだろう。であれば、世間に浸透した『ストリップ』の悪いイメージだけが先行してしまった、ということはないのだろうか…。岡野氏の話を聞き、そう思った。
いずれにしても、TSミュージックが敗訴となれば、現住所での営業はできないどころか、劇場自体が廃業に追い込まれてしまう。
「風営法がありますので、ストリップ劇場の新規開業は極めて困難です。まず、歌舞伎町は絶対に無理です。病床のある病院や図書館などの公共施設との地理的距離制限がありますから。元コマ劇場裏に大きな病院がありますし、新宿区役所の中に図書館がありますからね。そう考えると、たとえ歌舞伎町ではなくても、繁華街での営業自体が難しくなってきます。日本のどこでもいい、となれば、どうにでもなるでしょうけど…」
と、前途は厳しいようだ。しかし、立ち止まってばかりはいられない。それは、ストリップファンのためであり、彼らのために日々レッスンを重ねている踊り子さんたちのためにでもある。
現在、TSミュージックでは、存続に向けての要望書を作成しており、署名を募っている。もちろん、劇場での署名もできるし、ホームページでの署名も可能だ。また、協力を快諾してくれた他の劇場にも署名用紙が置かれているという。
ストリップは踊り子が身体一つで織りなす芸術であり、大衆のものである。そして、TSミュージックは長きに渡って、歌舞伎町という街の文化の一端を担ってきた、言ってみれば我々にとっての文化遺産でもある。その灯を消さないためにも、穏便な解決を望みたいところだが…。
なお、署名の詳細については、TSミュージックのホームページをご参照いただきたい。
(http://www.ts-music.co.jp/?cat=1)
(文=子門仁)