「おやっ、さては編集長、場所を間違えた?」
どう見てもプロレスジムなんだけどなぁ…。しかし、編集長を一瞥すると、ここのオーナーらしき人と仲良く喋っている。間違いではないらしい。
ふたりの話を聞いてすぐに分かったのだが、ここは格闘プレイ専門のSMクラブなのだった。
しかも、私がこれからインタビューする相手は、いわゆる普通の女王様ではなかった。やって来たのは、身長約180cm、ヒールを合わせたら190cm超えで体重は約100kgという、若干23歳ながら、まさしく巨漢といった言葉の似合うTさんという女性だった。そのTさんは、女子プロでよく目にするような黒のレオタードを着込み、肩をぐるぐる回して、さっそくヤル気満々だ。
思わず目が点になる私。だが、それからの展開はもっとスゴかった…。雑誌の写真撮影にもかかわらず、リングに上がったTさんは、引っ張り込むようにM男さんを持ち上げると、手加減することなく首をギリギリと締め上げ出したのだ。そして、顔が真っ赤になるまで豊満な乳に顔を押し付けると、今度は一本背負いでマットの上に投げ飛ばす。
「ウッゲー! おーっ、いててて~っ!」
M男さんの苦痛とも快楽ともつかない奇妙に甲高い声が当たり一面に響いた。編集長は、カメラを回すのに集中していたが、私は何が起こったのすらよく分からず、ただただその異様な現場をポカーンと見つめていた。
Tさんは、さらにM男さんの顔面をこれでもかとガシガシと足で踏み付け、M男さんのチ●コの真上に全体重をかけて乗っかり、勝ち誇ったかのように笑うのだった。
「ギャハー! ぎええええっ!」
M男さんが歯を食いしばってTさんの全体重を、男の一番大切な部分で受け止める様子は、まさに阿鼻叫喚の地獄絵図である。普通の男性なら泡を吹くレベルだ。
ここはあくまでもSMクラブ。M男さんの反撃は当然ながらNG。たとえTさんとM男さんが戦ったとしても体格が違いすぎてとても勝てそうには思えないが…。M男さんはやられっぱなしで、叫びっぱなしである。
それから連続で飛び蹴り、エビ固め、首絞めなど次々と技が飛び出す。まるでプロレスを観戦しにきたのではないかと思えるほどリングが揺れ、ドスンドスンという地響きが部屋中にとどろく。でっぷりとしたお尻による顔面騎乗でスリーカウントされ、M男さんはついに撃沈したのだった…。