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「いいか、必ずボタンと襟の付いたシャツにジャケット着用だからな。あと、ジーンズ禁止！ できたらスラックスで！」
筆者が30歳になった時のこと、先輩がその記念にと“ある場所”へ招待してくれた。これは、その時の注意事項である。いわゆるドレスコードで、まるで銀座のクラブか5つ星レストランに連れていかれるようだったが、向かったのはソープランドであった。
関西某所にあるソープランド『F』は、高級店として風俗ユーザーの間で知られているが、それは“独特のしきたり”ゆえでもある。
その店に到着したのは、予約時間の40分前。超高級店ということで、焦っていたわけではない。「予約時間の30分前の到着」がルールなのである。
スタッフは、筆者たちの足元から頭の先までドレスコードをチェックする。この店ではジーンズ、スウェット、ジャージ、Tシャツ、短パン、スニーカーという、筆者の普段着は御法度。だから先輩は、口を酸っぱくして注意したのである。
会員制の店なので、まずは手続きが必要となる。10歳年上の先輩はすでに会員であり、筆者は紹介での入会になる予定であった。しかし、スタッフが筆者を見て、「申し訳ございませんが、年齢を確認できる免許証などはお持ちでしょうか？」と尋ねてきた。それは、この店が30歳未満の者の入店を断っているからだ。
この店は“大人の社交場”で、そのことを理解できる者のみが楽しむことができるということだろう。店側の絶対的な自信をうかがうことができる。
