※イメージ画像:Thinkstockより
医者や医療関係者などが、患者や来訪者に対して性的関係を強要したり、あるいはそうした状況に持ち込んだりする事件や不祥事は、現在でも珍しくない。
医師が女性にちょっかいを出すというと、診察と称して服を脱がせてその末にというパターンを連想しがちだが、今回ご紹介するのは歯科医である。歯科医はさすがに「診察ですから服を脱いで」とは言わない。
大正13年(1924)9月のこと、東京・深川区安宅町(現・江東区)で歯科の診療所に勤務していた古木正一(26)が警視庁西平野署に検挙された。
この古木という男、この年の1月から別の歯科医の代診として勤務していたが、その間によからぬことを繰り返していた。記事にははっきりと説明されていないが、どうやらよからぬ噂は流れていたようで、警察は捜査を進めていたらしい。
そしてついに、警察は21歳の女性患者に対して「巧みに誘惑して暴行を加へた」ことを突き止めた。さらに、古木は多くの女性来院者に対しても同じような手口で「私通」していたこともわかった。その数は、わかっているだけでも80余名という。わずか8カ月あまりの間にこれだけの数の女性に手をつけたというのは、かなり手馴れた犯行の可能性が高いといえるのではなかろうか。単純に割っても、毎月最低10人。男女関係について少しでも経験のある者なら、これが相当な数字であることがわかるはずだ。