――先生は、ステージの上ではM女さんを相手にしているわけですが、自分のことはMでもあるとおっしゃっていますよね。性癖という意味では、どちらに近いのでしょうか?
伝次郎:性癖は…、超スケベなおじさんだよね。それは譲れない(笑)。まず、それは基本にある。ただし、あらゆる女子とショーを成立させなきゃいけないので、そこで覚えてきたこともあります。一番学んだのは、その人の許容範囲を見極めるということかな。
――どうやって見極めるんですか?
伝次郎:僕は、譲れないぐらいスケベだと言ったけど、求められたらとにかく燃えるタイプなんですよ。そして、SMショーにおいて、求められているという“勘違い”は往々にして成功するものなんです。たとえば、顔を足で踏むというプレイがあるよね。それを、相手が本当に求めているかといったら、求めてはいないのかもしれない。でも、人にはそれぞれ許容量があって、イヤがっていても実は踏まれても平気な子もいる。そこを、いろいろな方法を試しながら見極めていく。どうすればいいかっていうのは、その相手によるから具体的に言えないけど、イメージ的にはちょっとずつ扉を開いていくような感じかな。その許容範囲を見極めながら顔を踏むと、たとえイヤがっていても受け入れてくれるものなんです。まあ、ほかの部分とは違って顔を踏むという行為は、女子の何かを奪うね。顔を踏むことで、ショーマンの桜田伝次郎とそのM女はステージからどこか違う場所へ飛んじゃうって感じ。
――…顔面ですもんね。それは本当に、未知の世界というか、別世界に行ってしまいそうです(笑)。
伝次郎:そう。一緒になってどこか遠くの世界へ行ける。思えば、僕はMっぽい面もあるんです。責めている女子に対して、感情移入しちゃうんですよ。自分が責めているはずなのに、自分が責められているような気になってくる。そうしているうちに、その子と一体化してくるんです。だから顔を踏まれているの僕なのかもって錯覚することもある。でもその一体感がSMの醍醐味なのかもね。
――最近、SMという言葉が一般化してきたからか、縛られたい女性が増えていると感じます。なぜ縛られたいと思うのでしょうか?
伝次郎:緊縛の入り口は、寂しいとか抱きしめられたいという願望だと思うんです。縛られている状態というのは、完璧に相手に依存している状態ですから自分でどうすることもできない。つまり、肉体を完全に委ねることで、精神的な部分も解放されるんじゃないかな。その絶対的な時間がSMの魅力だと思う。それを一度体験したら簡単には忘れられない、蜜の味になる。その絶対的な時間を欲している女性が増えているのかもね。
(取材・文=菅野久美子)
【桜田伝次郎SMショー】
『悦虐飼育残酷浣腸劇』
日時:10月24日(土)
場所:新宿・シアターPOO
時間:開場18:30~ 開演19:00~
出演:桜田伝次郎、M女2名
料金:男性=¥10,000-
女性=¥5,000-
男女=¥12,000-
(ワンドリンク付き、予約・フライヤー持参で¥2,000-off)
ご予約・お問い合わせは、プロデューサーの松本格子戸まで。
電話:090-3658-2945
メール:angra-love@ezweb.ne.jp
※詳しくは以下のフライヤーをご覧ください。
菅野久美子(かんの・くみこ)
アダルト系出版社司書房を経てAV情報誌やホスト雑誌、女性週刊誌で活動。
現在フリーのライター。
著書に『アダルト業界のすごいひと』(彩図社刊)がある。
8月10日に2冊目の単著となる『エッチな現場を覗いてきました!』(彩図社刊)を発売。