一方の『口隠し派』は、
「“目は口ほどに物を言う”って言うやん? せやから、目ヂカラが増す化粧をして指名をもらうねん」
とは、関西の某デリヘルに在籍しているユミさん。そう言って笑ったが、
「写真を撮るときには入念にメイクするから、準備に時間がかかるけど(苦笑)」
とオチをつけるのを忘れないのは関西人たる所以か。さらに、
「もちろん、お店に出る時もシッカリとメイクするで。そうすれば、普段スッピンで歩いてればバレないやん? あと、写真を撮る時にウィッグをつける子も多いで」
と付け加える。なるほど、考えているわけである。
ちなみに、関東と関西の中間にあたる名古屋などの中京地区は、半々…いや、やや、口隠し派が多かった印象だ。
また、目でも口でもいずれにしても、より綺麗に見せる“隠す腕の角度”があり、その見せ方もお客さんの指名につながるからと研究している女性も多かったものである。
しかし、この「どちらを隠すか?」という話は過去のものになりつつある。というのも、デジタル撮影化が進んだ昨今、写真加工ソフトで短時間で簡単にモザイクやボカシを入れることができるようになったからだ。つまり、隠さなくても編集者なりが後処理で顔を隠してくれるのだ。
さて、この風俗の指名用の写真で驚かされる一部地域がある。それは四国の数箇所の都市で確認されているが…。
まず、風俗で働く女性が顔を隠すのは、前述のようにプライベートのことを考えてでもあるが、あくまでもそれはメディア掲載やホームページといった“対不特定多数”への対策がほとんどだ。それゆえに、お客さんだけが見る店内の指名写真という“その場だけ”であれば問題がないようにも思える。
しかし、四国の数箇所の都市にある店舗型風俗店の店内指名写真には、モザイクやぼかしがかかっているのだ。
「都市といっても狭いですから、働いているのがバレやすい。だから一部店舗では、まずお客さんを待合室の顔が見えやすい特定の場所に座らせて、その映像を女性の待機場に流し、知り合いでなければ接客が可能ということで自分の写真をお客さんに見せるという流れです。もちろん、その写真もモザイクがかかっています」(四国風俗に詳しいKさん)
いずれにしても、女の子の顔が分かるのは、部屋でご対面してからだという。また、四国の某風俗情報誌に掲載する女性の名鑑写真の中には、『モザイクWがけ』というものもあるとか。これは、通常のモザイク処理をした後に、さらにモザイクをかけるもので、顔の原型をとどめていないという。
このような事情もあり、四国のデリヘルに在籍している女性は、遠く離れた、隣の隣のそのまた隣の市で営業する店で働いているパターンも珍しくないという。風俗にもご当地事情というものが存在するのである。
(文=子門仁)