──世間的にはセックスが上手い男がのし上がっていく世界というイメージもありますが、そうではないと?
カルロス:いいえ。男優は人間力だと言われますね。セックスができる、勃ちがいい、その上に人間的な能力、特にコミュニケーション能力がないとダメだって。逆に言えば、セックスがいまいちでも、人間的に魅力があればスタッフさんにも気に入ってもらえるし、先輩方にも可愛がってもらえて仕事をふってもらえるってこともあるんです。「あいつ、勃ちはいまいちだけど、また呼びたいな~」ってこともぶっちゃけありますからね。
──要は、現場の雰囲気を良くする男優さんが重宝されるということかな?
カルロス:そうです! いかに現場を円滑に進められるか、女優さんの機嫌を良くして「今日は楽しかった。またあの人と共演したい」ってなるか。そこが肝ですね!
──仕事の増減に関しては、年齢的な衰えも関係すると思いますが、その点ではいかがですか?
辻丸:僕は40歳を超えてから、勃ちの方は全くダメになってきましたね。だから自分でも、よくここまで生き残って来られたな~と思うんですけど、ハメ男優ではなく別の路線に進めたのがよかったんです。今は、セックスを魅せるだけがAVではなく、セックスするだけが男優ではない時代になったといいますか…。
──ジャンルが多様化してきましたからね。
辻丸:そう。その結果、以前はいなかった専門職みたいのものも確立されてきたんです。僕の場合は言葉責めだけど、例えば縛るだけの緊縛師とか、アナル開発師とか、イカセ師とか。そういった特殊技能を生かせるメーカーさんもできてきたので、そこでお仕事ができるというのも運のひとつなんだと思います。そういうマニアック、フェチなプレイを追求して、男優を続ける道もあるんです。
──ちなみに、その難関をクリアできずに脱落してしまった男優さんの理由は?
カルロス:辞めていった同世代の男優たちは、生活できなくて諦めた人がほとんどですね。仕事が貰えないので「今後のビジョンが見えない」と言って。中にはやりたいことが見つかって辞めた人もいるけれど…。僕はまだこの世界に夢を見ているから、続けていけてるってだけで、いつまで続けられるかに関しては不安があります。
──どんな夢を見てるの?
カルロス:どんな夢というか、この世界自体が夢みたいなもので、現場が楽しいですよね。いろんな人がいて、いろんな経験ができて同じことがないんです。刺激があるっていうか。
──話を聞けば聞くほど、カルロスくんって今を象徴する男優さんだと感じますね。辻丸さんから見てどう思いますか?
辻丸:求められることが多いのに、ギャラが安いなぁと、それが一番驚きました。まぁ、意識と常識の問題で、今の時代はこのギャラでここまでのことをすんだよと言われると、それが常識なわけだからやらざるを得ないし、納得できなければ仕事もできないし。そんな中で、頑張っていると思いますよ!