言葉もロクに通じない、風習も違う国をあてもなく旅をする…。その国で出会う異文化は刺激的であり、エンターテイメントでもある。そして、男として気になるのが『風俗』だ。異国の地で風俗店に飛び込むことはスリルがあるからこそ、虜になってしまうのだろう。
とはいうものの、入国した瞬間に萎えたのが、10年前に訪れたメキシコだ。
独立記念日の祭に浮かれる9月のある木曜日、成田からロサンゼルスを経由して“ベニート・フアレス国際空港”ことメキシコシティ国際空港に着いた瞬間、その排気ガス臭にクラクラした。さらに、メキシコシティは標高が約2250メートルと高地であるため空気が薄い。呼吸がキツイうえに空気が悪いので萎えたのだ。
「早く帰国したい…」
入国して最初に出た言葉だった。仕事で訪れたということもあったが、上陸早々…というか、上陸して3分後にホームシックにかかったのはメキシコが初めてだった。
この時点で風俗に行くことなんて考えられなかった。それほどカラダがダルかった…。
翌朝、早い時間に目が覚めた。時差ボケのせいではなく、息苦しくてだ。それほど空気が薄かった。
仕方なく、ホテルの周囲を散策することにした。朝6時であったが、平日ということもあって、街は活気に溢れていた。街角には屋台が数多く出ていて、朝食としてタコスやサンドイッチを食べている現地の人々を尻目に、公園のベンチでボ~っとしていた。すると、
「オラ!」
と、メキシコの公用語であるスペイン語で挨拶をされた。ちなみに、「オラ!」は日本語だと、“やぁ!”とか“よっ、元気?”といった感じの気さくな挨拶だ。その声の主は、見知らぬ女性だった。「ハポネス(日本人)?」と聞かれたので、「シー(はい)」と答えた。
その後、何か話しかけられたが、そこまでスペイン語を理解できなかった。それでも、彼女の目をシッカリと見ていたのは、めちゃくちゃ美人に思えたからだ。
スーツを着ていたので、出勤前なのだろうか。ラテン系の褐色の肌はエキゾチックで、タマらない…。そして、ボクの頭の中にある想いがよぎったのだ。
「ボニータ(可愛い女の子)を抱きたい!」