確かに「はい、コレ!」という感じで名刺を差し出してくる女の子は少なくありません。もちろん、それがお店の決まりであることも理解できますが、たとえば既婚者だと家には持ち帰ることはできないし、帰りにゴミ箱に…ということは珍しくありません。でも、さっかくもらったのに捨てるという罪悪感があったりもします…。
「ですよね? だから当店では、名刺は『お渡ししても大丈夫ですか?』と必ず聞くように徹底しています。また、お見送りする際には、女の子には『また会いたいです』や『またお会いできますか?』と言うように徹底しています。風俗は来る、来ないというものではありませんから…」
たしかに、女の子に「また会いたい」と言われて悪い気がする男はいないだろう。つまり、男というものは、こういったところが単純なのだが、「会いたい」と言われたら…スケジュールを確認する自分がいる。
さらに、店長が『禁句』にしているのが、「頑張ってくださいね!」だという。
「だって、お客様は普段、お仕事を頑張った結果として当店を選んでくださっているのですから。頑張っている方に『頑張って!』は失礼なので、お客様と別れる時に『お仕事、頑張ってくださいね!』ではなく、『お仕事、無理なさらないでくださいね』と声をかけさせていただいております」
その結果、「ホッとする」や「やすらげる」という言葉に比例して、リピート率が増えているという。なるほど、もし「お仕事、無理なさらないでくださいね。またお会いしたいので…」なんて言われたら、この店に来るために仕事を頑張ろうという気持ちになるかもしれない。
このように、ちょっとした気配りが、風俗の魅力になっている…そんなことを実感させられた話である。
(文=子門仁)