『自分の価値』が分からないんです…。
いきなり、人生相談のような書き出しになってしまったが、まぁ、大抵の人が自分自身の価値を分かっていないのでは? しかし、あからさまに自分に価値がわかってしまう職業もある。嬢自身に値段がついてしまう風俗はその最たるものではないだろうか。
たとえば、指名料金。少し前までは店が決めた一律価格の指名料金が一般的だった。少し裏の話になってしまうが、風俗嬢にとって、この指名料金は重要なのだ。というのも、たとえば1万円のプレイ料金だとしたら、店と嬢の取り分の割合は5:5ならばマシなほうで、6:4と店の取り分が高いことも珍しくない。
そこで、嬢の収入を左右するのが指名料金で、これは大抵の店において、丸々嬢の収入になるケースがほとんど。つまり、指名を取るために嬢は常連さんを作るために頑張る、となるのだ。でもこれは、あくまで理想論だったりする。なぜならば、この一律価格の指名料金は、時に問題を引き起こすこともあるのだ。それは、「なんで、あの子と同じ値段なのよ!」という嬢の不満。たしかに、ルックスやテクニックに明らかに差があるのに、一律の値段であると、働く身としてはやる気が削がれてしまいます。
といった流れもあって、最近では風俗店によっては、在籍嬢をランク分けして、指名料金を決めるところが増えているそうです。
「それでも、“わたしの値段(価値)って、こんなもの?”という不満を持つのが女性なんですよ(笑)。つまり、他人に決められること自体に不満があるわけです。ということで、ウチの店は“だったら、自分で決めれば?”となりました」
そのように語るのは、横浜を拠点とする某デリヘル店の女性オーナーだ。彼女自身が元風俗嬢ということもあって、嬢の不満も分かるし、どのようにすれば納得するのかを考えた結果、基本料金は一律なものの、指名料金は自分で決めさせるシステムを採用したそうだ。
その結果、下は2000円と他店の通常料金のような嬢がほとんどだが、中には10000円としたツワモノも出てきたのだという。
「お客様に“指名料金以上の満足を!”と頑張るコもいれば、“○○が欲しいから”と自分の指名料金を高めに設定して頑張るコもいます。お客様としても、自分のお気に入りの嬢が持ち物などが良くなっていく過程を見ることができて、その“育成感”を楽しまれている方も多いです」
女性オーナーはそう語るが、店としては、このシステムの採用で、自分に自信のあるコが求人募集で来るので、活気が出るというメリットもあるとか。
このように、自分の価値は自分で決めるということが、昨今の風俗の流れである。そして、指名料金だけではなく、プレイ料金自体を嬢自身に決めさせる店も増え始めているそうだ。
たとえば、あるデリヘルでは、30分コースの場合、最高で12000円の値段をつけている嬢がいる。逆に最安値は5000円とのこと。もちろん、風俗店なので、その4割から5割は店の取り分になることを考えると…。なんだかますます分からなくなる気がしないでもない。それゆえに、結局は一律料金の店に移籍する嬢も少なくないという。
筆者としては、プレイ後の股間の満足度が風俗嬢の価値であることは確かなのだが…。
(文=子門仁)