同作は06年に実写映画化され、映画初出演だった女優・戸田恵梨香(26)のミサミサ役が好評を博し、ブレイクの大きなきっかけになったことで知られる。原作ではSMチックな拘束をされて尋問を受ける過激なシーンがあるが、それも映画版では見事に再現されていた。ドラマ版で佐野のセクシーな尋問シーンがあれば男性ファンの注目度が急上昇することは間違いなく、すでにグラドルとしてブレイクしている彼女が戸田と同じように女優としても大躍進する可能性がありそうだ。
また、映画版では現在若手女優のトップクラスに位置する満島ひかり(29)が月の妹を演じていた。ドラマ版で同役に起用された藤原も同様にブレイクが期待できそうに思える。
「映画版は松山ケンイチ(30)のLや藤村俊二(80)のワタリなど原作イメージに合った配役に成功し、オリジナルの結末も一部で『原作以上』といわれるほど好評だった。作品の高評価があったからこそ戸田や満島らの注目度が上がり、ブレイクにつながった経緯があります。しかし、今回のドラマ版は原作で天才だった月が『平凡な大学生』に変更され、Lは甘いお菓子を過剰に食べるといった奇行を抑えるなど設定からしてオリジナル要素がふんだんに盛り込まれている。原作のキモだった『天才vs天才』という構図を捨てたのは相当な冒険ですから、下手すれば大失敗しかねません。そうなれば、いくら佐野のミサミサが合っていても戸田ほどの評価は得られないでしょう。もちろん、オリジナル設定が大当たりすれば評価も変わってくるので全ては作品のデキ次第でしょうね」(テレビ誌ライター)
原作とは異なる設定が多数あるとなると先行きは未知数。また、全体的な配役についても不安要素があるという。
「佐野やニア役の優希、松田役の前田は所属事務所がホリプロ、月役の窪田やL役の山崎、日村役の関らはスターダストプロモーション所属です。この二つの事務所でメインキャストの大半を占めてしまっている。これは原作のキャラクターに合った俳優を起用したのではなく、特定の事務所のタレントを使うことが前提にあったのが明らか。当初のキャスト発表で『原作に似せる気がない』と批判が起きましたが、最初から誰を使うか決まっていて、似せることを重要視したキャスティングではないのだから当然です。たまたま佐野はイメージが合って原作ファンにも好評でしたが、ほかはあまり期待はできないと思われても仕方ない部分がある。これまでも人気マンガの実写化が失敗する大きな要因として指摘されていた業界の悪習であるだけに、今作も不安に感じてしまいますね」(前同)
今のところ雲行きは怪しいが、現在では原作ファンに認められている映画版も公開前は散々批判されていた。不安要素を吹き飛ばして傑作になれば、単なるドラマの成功という枠を超えて、ここから新たなスターが続々と生まれていく可能性もある。その成功のためには原作に忠実なミサミサの尋問シーンも必要不可欠に思えるが、テレビのゴールデン帯でどこまで再現されるのか注目したい。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops)