どちらが悪い? 妊娠させて自分を捨てた男をヤクザを使って恐喝

0623yakuzaodoshi_fla.jpg※イメージ画像:Thinkstockより

 女性をさんざんもてあそんだ挙句、邪魔になるとトンズラしまうような無責任極まる非道な男の例は珍しくない。そうした場合、多くの女性が泣き寝入りしてしまっているようである。

 だが、なかには黙っていない、それこそ手段を選ばずに反撃を講じる女性もいるのだ。

 大正14年(1925)8月のこと、警視庁は都内に住む21歳から26歳までの男5人を恐喝の容疑で検挙し、検事局に送検した。

 この5人は、長野県に住む医師の息子(26)から現金を脅し取ったというのだが、その際の言い分が「女性を妊娠させて捨てた」というものだった。

 この医師の息子、この年の春から東京・本郷にある順天堂病院に入院していた。その際、ナースとして勤務していた24歳の女性を妊娠させ、この6月末に退院と同時に彼女を捨てて郷里の長野へと逃げ帰ったというのである。

 これに激怒した女性は、男たち5人に依頼。そして5人は7月11日の夜に東京を出発すると、長野の男性の実家に押しかけた。ナースの女性を妊娠させた件について、責任を取っていただきたい、誠意を見せよ、というような「主張」をしたことは間違いなかろう。

 5人というのは、なかなか威圧的な数である。一般家庭で、成人男性が5人もいるケースは珍しいだろう。経験した者ならわかるが、男が自宅に5人もやってきたら、よほど性根のすわった者でなければ動揺してしまうものである。たとえ暴言を吐いたり威圧的なジェスチャーをとったりすることがなくとも、男たちが5人もズラリとならんで立ちはだかったら、それだけで恐ろしいものである。

 さて、この医者の息子も、どうにもできなかったに違いない。男たちは手切れ金と称して1500円を受け取った。

 この当時の物価としては、天丼1杯が50銭から60銭、東京の民間アパートが6畳一間で10円から15円だったというから、現在の価値に直すと約2000倍から2500倍程度になろうか。すると、1500円は少なく見積もっても300万円ほどになる。

 この1500円を、5人は山分けしたと記事には書いてある。 
 
 

men's Pick Up