幻惑の潜入編

【ニッポンの裏風俗】弘前、風俗のない街ならではの“旅館”というちょんの間文化


 勇気を出して引き戸を開けると、小さな番犬に続いて五十路の女将があらわれた。少し怪訝そうな表情の女将に、合い言葉のように聞いた。

 
「遊べますか?」 
 
「どうぞー」

 
 ホッとひと安心。一見客の筆者を二階の部屋に案内しながら話しかけてくる女将。

 
「出張ですか? 弘前はソープランドがないんで、うちみたいな旅館があるんですよ」

 
 なるほど、風俗のない県には、それなりに天のお目こぼしもあり得る。6畳の部屋に入る頃には、女将の表情も和らいだ。

 
「今日は、30代の人妻さんと20代の若いコね。どっちにします?」

 
 風俗の女のコの年齢は良くて5歳割引きなので、人妻と遊びたい気分の時でも若いコを指名することにしている。

 
「1万4000円になっちゃうわよ」

 
 人妻より2000円高いが、そちらをお願いすると、20分程でホントにスレンダーなロングヘアーの三十路美女が現れたのだった。

 カーペットの上に敷かれた布団と小さなテレビがひとつ。窓の外では昭和の遺産とおぼしきエアコンの室外機がアエギ声を上げている。

 部屋は寂しいが雪国の若妻の津軽なまりとスベスベの美肌は、何よりの心地よさだった。
(文・写真=松本雷太)

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