──最初に担当したアイドルは覚えていますか?
二宮:尾崎ナナ(32)です。元々、同じ系列の事務所だったので、スムーズに話も進みまして。その時は、男の人しかMCをやってる人がいなかったので、珍しいと思われたでしょうね。でもね、やってみたらけっこう良くて、「これ確立したら儲かるんじゃない?」って分かって、続けてみようと思った訳です。
──精神的にきっぱり切り替えられました?
二宮:まぁ、そうですね。グラビアって、仕事1本の単価は良いんです。単価だけ考えればいいんですけど、月に1~2日の稼働なんてこともよくあるんですよ。で、その合間には何をしてるかというと、ネイルサロンに行ったり、マッサージにいったりと、「セレブな生活を送ってま~す」みたいに見せてますけど、本当のところグラビアって言ってもビジュアルメイン…もっと言っちゃえば“可愛いだけが取り柄”みたいなところもあるじゃないですか? だから、あくまでセレブ風に見せて自分磨きをしているんですよ。というか、それ以外の努力の仕方がわからないんです。だから、逆に美容代にお金がかかっちゃうことも。それに比べてMCの仕事は、単価は低いけれど稼働率はいいんです。
──トークも軽快だし、素質もありますしね!
二宮:あははは…ですかね~。いざ極めてみたら意外に頭と体力を使うな~ってことも多いですけど、この仕事を確立させれば、せいぜい持って20代までって言われているグラビアアイドルの寿命が30代にまで延びるんじゃないかって。私は30歳を超えても仕事をバリバリやっていきたいので!
──でも、女同士のトークって難しくないですか? 素顔を知ってると特に…(笑)。
二宮:まぁ、どこまで暴露していいのかって探り探りの事もありますね。でも、女同士である前に同業者ってのもあるので、仕事の細部まで分かってるんですよ。だからこそ、自分自身が聞かれたら困る質問っていうのも分かっているので、そのギリギリのところをついた質問ができるんですよ。相手が困ってしまってもフォローができるので、男の人にはできない繊細な部分まで聞けるっていうのが強みになったんですよね。
──男性MCは、アイドルのイメージを傷つけてはいけないという意識が第一なので、触ってはいけない部分にはあえてツッコんでいきませんからね。
二宮:そうそう。でもね、私自身はグラビアのシビアな部分も伝えていけたらいいなと思っていたので、あえて撮影の裏側のキツかったところとか聞くようにしてるんですよ。それに、自分がグラビアを卒業すると決めていたので、後輩を応援したいという気持ちも純粋にあったし。とにかく、グラビア界を盛り上げたいという気持ちが一番なんですよね。
──今、こうしてお話していても分かりますが、言葉がスラスラと出てきますよね。最初から、そんなにトークがお上手だったんですか?
二宮:いえいえ、今でもまだまだだって思ってますよ。RIPという事務所にいたのですが、当時のマネージャーが厳しかったんですよ~。大分鍛えられましたね。忘れもしないのが、テレ東で中川翔子ちゃん(30)や浜田翔子ちゃん(29)と同じ番組に出た時、笑顔もなしに「つまんないんだけど?」ってそのマネージャーに言われたんです。「そういうのってセンスだからなぁ~。元々持って生まれたものってあるからなぁ~」って。
──発言自体は制限されていなかったんですか?
二宮:制限されてましたよ~、一言一句ね。20歳になるまでは、好きな食べものを聞かれたら「イチゴです」って答えろと言われていましたし、「ヘタなことをしゃべるくらいなら黙っていろ」とも言われていました。イエスかノーかを首を振って返事するだけでいいって。若槻千夏ちゃん(30)が自由に発言するグラドルの先駆けで、それまでは台本で決まっていること以外は話せなくって、ブログさえマネージャーの添削を受けた後にアップしていましたから。その中でのトークなので、まぁ難しかったですね。
──今となっては、厳しく管理されてきたことが役にたっていますか?
二宮:そうですね! 18歳でモデルとして拾われるまで、渋谷をプラプラしていたタイプですから、芸能界は更生施設。たまたまいい事務所で、いいマネージャーにも恵まれたし、いい意味で王道のグラビアをやらせてもらえたので、身辺には気をつけなくちゃいけないんだなと気づかせてもらえたんですよ。
──気を付けないと、モデルを喰いまくってる編集さんもいるって話ですしね。
二宮:そうゆう噂は絶えなかったですね~。でも、私はこれまでの人生で、そこまで大人たちを信用してなかったので、厳しいけれど大事に育てられて、逆にこの方たちに迷惑をかけてはいけない“スキャンダルだけは絶対にダメだ!”って思ったんです。当時は門限なんかもあって、毎日何回もマネージャーから電話はあるわ、最悪家に確認に来るわ。そうやって、うざいなと思いながらも更生されたことで、ファミリーみたいな付き合いができるようになって、礼儀やマナー、人としての筋なんかも教えてもらったおかげで、フリー時代も仕事に困ることなくやらせてもらったし、RIPを退職した今も結果、提携させてもらっていますからね。
──25歳の壁を超えることができた理由は分かりました。でも、結婚という壁はさらに高かったのでは?
二宮:いや~、本当にその通りで。表に出る仕事をしている女性にとって最大の難問じゃないですかねぇ? 私の場合、実は22歳から付き合っていたんですけど、ちょうど一番売り出してもらっていた時期でしたから、事務所には彼氏がいるなんて言いだせるはずもなく…。そのうち25歳になって、グラドルとして一番焦っている時期に、3年も付き合えば彼からは自然と結婚の話が出てくるわで、もういっそのことそれでもいいかなぁ~て。でも、このタイミングで結婚となったら、それこそ“落ちて逃げに結婚を利用した”みたいに見られるのも嫌だったし、公表した瞬間にグラビアアイドルは終わりだなとも思いましたし。そう考えたら、今言うべき時でも結婚するべきでもないなと。そういう事情もあって、またお得意の“逆算”で、いずれ結婚しても大丈夫で、かつ脱がずに、25歳を超えても続けていけるとなったら、フリーになってMCを極めることしか思い浮かばなかったんです。そうして、環境を自分で整えていって、やっと公表したのが去年。それこそ本当の5年計画ですよ! ずっと誰にも言えなかったので、苦しかったですね~。
──それまで見守ってくれた旦那さまも素晴らしい!
二宮:どうせなら、最後の悪あがきでフリーになってMCをやらせてみてくれ!と。それでダメだったら諦めもつくし、どちらにしても30歳まで見守っていて欲しいとお願いしたんです。それがタイムリミットだと思って、とにかくがむしゃらにやれることは全てやってきましたよ。そして、いいカタチで本当にまさかの30歳になってゴールイン。本当にありがたいですし、驚くとともに自分でもこんなにうまくいくものかと自画自賛(笑)。