【1万本AVウォッチャー・文月みほが迫るAV裏舞台】

「女性AV監督は差別用語です!」緊縛師兼AV監督・青山夏樹が明かすアンチ・ジェンダーフリーなAV業界

0501aoyama_beyond03.jpg極度の緊張で痙攣してしまったパートナーを優しい見つめながら熱ろうで責める姿が印象的であった。(M女・涼)

 
──従う相手が欲しかったんですか?

青山:いえいえ、そういうのとは違うんです。子供の頃からエロ漫画が好きで単にエッチなことがしたかっただけでした。だから、苛めたいとか、意地悪したいわけではないんですけど、従順な人を見るとキュンとしてしまうんです。突き放しても、縋り付いてくる人とか見るとたまんないです(笑)。

──芸術的な嗜好ではなく、己の欲望からSMの世界に自然と入り込んでいったんですね?

青山:はい、エロなんです。SMの緊縛では様式美に拘る方もいらっしゃいますが、私にとってはそこにイヤらしさがないと全然意味を感じないんです。それは表面的なものでしかなくて、コスチュームとか縛りのカタチというのはどうでもいいことなんです。

──そうなんですね!? SMの世界というと高い次元にあって、結び目ひとつズレようものなら「なっとらん!」とおしかりを受けるのかと勘違いしていました(笑)。

青山:結び方に関しては、間違った知識でやってしまうと危険な行為でもあるので、それすら気にしないで縛っていたら注意しますけど、カタチにはこだわっていませんね。一番の基本は相手を大切にすること。特にビデオの中では、安全な中で厳しいことをするのが大前提で、商品である女優さんを守ることが必須。その大事なところをおさえておけば自由であっていいと思うんです。

──夏樹さんと最初に会ったのは、撮影現場でしたね。AV誌の現場取材でお邪魔したんですけど、最初は女性監督ときいてヒヤヒヤしていたんですよ。現場がピリピリしていたらどうしようって。

青山:いえいえ、現場は平和ですよ~。カメラマンも照明も10年来の付き合いがあって、いつもいろいろ教えてもらっているんです。監督を始めた当時、売れっ子のスタッフだといって紹介された方なので、先生みたいな存在で、今も一緒にいるだけで嬉しいんですから。 
 

0501aoyama_beyond04.jpg『フィスト&フットファック 実は私、変態なんです 槇原愛菜』(グローリークエスト)撮影現場の一コマ。お尻が綺麗な女優さんに美しく見える立ポーズを指導しながら楽しげにコミュニケーションを図る夏樹さん。

 
──でも、最初からそんなに楽しくできましたか?

青山:いいえ。最初は「AV業界ってなんて低俗な世界なんだ」って思いましたからね。

──ほほ~? でもなぜ?

青山:SM業界ってAV業界とはつながりがないからガラパゴス状態で、制作会社もなければ事務所もないです。独自の考え方でやっていますから。それでも、好きに撮っていいと言われたので、好きにやらせてもらったんですよ。ところがメーカーに納品したら「こういうのを求めてるんじゃないんだよ。ヌキの要素が足りない!」と言われて、悔しくて自腹で追加撮影したんです。私は、ずっと真正のSで売ってきたので、脱ぎもなければ、舐めたりとか直接的なプレイがなくても成立すると思っているんです。で、その後、自分のお金だったら何をやってもいいだろうと思って「やってやるー!」って気持ちで自分でメーカーを立ち上げたのが、監督として正式に活動を始めたきっかけになります。2003年のことです。

──では、随分キャリアが長いんですね!

青山:実は中学時代から映画監督になりたくて、親に本格的なビデオカメラを買ってもらって、その頃から撮影していたんです。映画研究会も作りまして。でも、最初は散々でしたよ。ネクストイレブンで女性監督のレーベルを作ってもらったんですけど、理解は低くし、男優さんには女優さんと間違われてなれなれしくされるし。そのうち、スタッフの一人が女優さんに手をだしてしまってその責任を取ってネクストの監督を辞めることになってしまったんです。その後、いろんなメーカーさんに売り込みに行ったのですが、女性のAV監督ってなかなかいないので、レズをやれとか、出演しろとか言われて大変でしたね。散々、セクハラされた挙句に「アナル開発して欲しい」と、メーカー社員に迫られたり。

──セクハラは、この業界で生きていく以上、自衛するしか防ぎようがないのかも…。でも、アナル開発って(笑)。

青山:10年前のことなので、若かったせいもあって舐められていたんでしょうね(笑)。

──下衆な話ですけど、男優さんに口説かれたことはありません?

青山:まぁ、なくはないですけど興味がないので。むしろ、自分の方から「この人いいなぁ」と思うことの方が多いですよ(笑)。

──さすが肉食女子!

青山:花岡じったさんを最初に撮影した時は、現場でエロいなぁと思ってモニター観ながらもモジモジしていたんですね。だけど、口説きたいとは思わなかったんですよ。ところが編集していたら、めちゃめちゃ興奮しちゃって、そのままオナニーしましたね。相手が熟女さんだったので、野獣同志で、マニアックな演出をしたんです。すぐに局部を舐めさせるのではなく、玉の匂いを女優さんに嗅がせてからフェラさせたり…うふふ。

──その場で調教するようなイメージ?

青山:いえいえ、細かな指示はしません。そうなるように仕向けるんです。これは自分がプレイしている時も同じで、細かく決められると頭は段取りでいっぱいになってしまうんです。監督やり始めた頃は、事細かな指示をしていましたが、今は男優さんのプレイを魅せてもらうという意識で演出をしています。自分も演者だから分かるんですけど、やってる人が興奮していないと映像上も説得力がないんですよ。だから、その打ち合わせは女優さんには聞かせないんです。人って、予想を裏切られたときにいい反応をするんです! 

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