そのメーカーは、バックスタイル専門のエアーダッチワイフ(空気で膨らませるタイプのダッチワイフ)や駅弁専用エアーダッチワイフなどを考案。さらにそれぞれのダッチワイフに家計図を付けて姉妹ダッチワイフなどを販売するほど、当時、ダッチワイフに力を入れていたという。
「見せられたのはエアー式なのに縫い目の無い画期的なボディでした。しかし、ボディに予算をかけ過ぎたので頭部は既存のマネキンを取り付けることになったんです。その顔が予算などの都合上、金髪のロシア系の顔で。先方から“名前が決まっていないから入江さん、決めて!”と言われて…。でも、ロシア人女性の名前なんて知らないし…困りまして」(入江氏談)
結局、入江氏はその数週間前に行った錦糸町のロシアンパブで接客してくれた嬢の名前を拝借して『ナターシャ』を提案。その場はそれで終わったかのように思えたが…。
「2カ月後、商品化されて驚きましたね。だって、『ナターシャ・イリエ』という名前で販売されることになったんですから! しかもプロフィールに“ロシアからやってきたナターシャは、自身が働くロシアンパブで知り合った客のイリエ氏と結婚。そのままされるがままの生活に…。ダッチ(オランダ)ワイフならぬ、ロシアンワイフとして日本上陸!”的なプロフィールが添えられていたんですから。もちろん、嫁には“私という妻がいながら…”と泣かれるし、その後、嫁の親も“どういうこと?”みたいな感じで問い詰められまして…」(入江氏)
ちなみに、ネタとしてプレスリリース用に結婚式まで行ったとか。なんでも、口が開いていて誓いのキスはパスせざるを得なかったそうだ。そこまでやらせる方に開いた口がふさがらないのは、もちろん話の源がダッチワイフだからというワケではない。なお、現在は廃盤商品だそうだ。
(文=子門仁)