思わず彼を黙って見つめる筆者。そして、コチラの気持ちを汲み取ったのだろう。
「まだ、ありますよ、NK流…」
おもむろに切り出されて驚くしかなかったが、なんでも周辺のマンションで営業しているとか。もちろん、看板などは出しておらず、この中年男性のような客引き係が声をかけて交渉をするとか。
「でも、マンションの一般住民の中には気付いている人もいるので、“違法風俗店は出て行け!”と掲示板に貼紙をされてますけど」
交渉の結果、大1枚でということになりマンションへ。そこは3LDKほどの間取りで、一部屋をパーテーションで区切り6部屋あり、2部屋ほど“先客”がいた。
相手になる嬢は35歳くらいか? 左手首のリスカ跡が痛々しいが、顔自体は美形である。シャワーを浴びて、部屋に案内されてからは、あの当時のままのNK流スタイルだった。
「摘発以来、都内の風俗を転々としてきたけど、結局、昔の仲間に呼ばれて、また西川口に戻ってきちゃった(苦笑)」
苦笑いする理由は、NK風俗から抜けられない自分に対する嘲笑か、それとも懲りずにやってくる客への感謝の笑みか…。いずれにしても、NK流は密かに生きていたが、いつまで続くのかは誰にもわからない。
(文=子門仁)