さらに「競争心の違い」も大きいと語るみちよ。当時としては画期的であった“メンバーを次々に追加する”というシステムによって、グループ全体が成長するように機能したのではないかと指摘。中でも後藤真希(29)の影響力は計り知れなかったと言い、みちよ自身も初めて見たときは「すっげぇの来たな!」と驚愕したのだという。
モー娘。の人気とは裏腹に、脚光を浴びることのなかったみちよは、ライブなどのイベントに出席しても自分の曲をトイレタイムにされたり、握手会では自分だけ飛ばされたりするなどのエピソードを披露。終始笑顔で話していた彼女だが、ときおり力を込めて発言するシーンなども見受けられた。華々しいデビューを飾りながらも、結果を出せなかった自分に悔しい思いもあるのだろう。
その後、ハロー!プロジェクト(主につんく♂プロデュースのアイドルグループの総称)を離れたみちよは、ひとりでは生活ができなくなるほどの精神状態になり、それは、ひたすら辞書を引いて“優しい言葉”を探してしまうほど追い込まれたものだったという。番組中では、“モー娘。に持っていかれたこと”を「平家滅亡」とユーモアたっぷりに表現していた彼女も、さすがにそれだけ暗い過去の話になるとトーンを抑えて話した。
それでも、そんな“どん底”の時期が、「自分を見つめ直すいいきっかけとなった」と言い、シンガーソングライターの道に進むことを決意。再出発の際に行ったライブでは、心から楽しく歌えたと嬉しそうに語っていた。最後には、「何になりたいのか」ではなく「何をやりたいのか」か重要であり、「失敗があったから今がある。集まってくれるファンがいることが私の財産」という熱い思いを口にするのだった。
本当にしたかった「歌うこと」を忘れなかったみちよは、結婚・出産後もシンガーソングライターとしてファンに歌声を披露している。きっと、今回の番組で見せたような力強いメッセージを届けているのだろう。彼女の芸能生活は、いま始まったばかりなのかもしれない。
(文=kamei)