マリファナ愛用者限定の出会い系アプリに世界が注目


 グローバル展開することになったきっかけは、4月20日の「マリファナデー」。全米や世界中から10万人以上の観光客が、マリファナ愛用者のメッカとされるコロラド州・デンバーを訪れる(コロラド州は娯楽目的でマリファナの使用が合法であるため。ちなみに、娯楽目的で合法なのは、同州とワシントン州のみ)。

 このマリファナの祭典においてユーザーの大量獲得を逃すまいと、運営会社のCEOであるトッド・ミッチェムは、アプリのプラットフォームであるアップルとグーグルに、どうにか全米展開できないか掛け合ったという。サービスの目的はマリファナの売買ではなく、あくまでコミュニケーションなのだということを必死に訴えながら。

 とはいえ、彼もそれが難しいことはわかっていた。マリファナはアメリカにおいて州レベルでは合法だが、国全体のレベル、つまり連邦法においては、医療用・娯楽用問わず、マリファナは未だ違法だからだ。しかし、各プラットフォームからの返答は意外なものだった。

「てっきり、時期尚早だとか、非合法の州が許さない、などと言われると思っていたのに、彼らからの返事は、『グローバルに展開することにまったく問題はない』だった」とミッチェム。(Forbesのインタビューより)

 アップルとグーグルは、全米どころか、世界中でアプリのダウンロードおよび利用を、意外にもあっさり許したのだ。

 それは、Hight There!がアプリ内でさまざまな配慮を行っていたためだとミッチェムは推測する。プロフィール写真にマリファナを使用するアカウントは削除し、写真ページにアップする画像の中にマリファナが写っている場合はその写真を削除、違法な勧誘などを行うユーザーを積極的に通報するよう促す、などの運営姿勢が評価されたようだ。

 そもそも、ミッチェムはなぜこのサービスを始めたのか。その理由は、彼のバックグランドにある。母親が末期に近い癌を患い、マリファナを医療目的で使用していたのだが、前向きな理由で使用しているにもかかわらず、周りに偏見を持たれることに疑問を感じていたという。

 そして、決定的だったのが、出会い系アプリで出会った女性に、マリファナ愛用者であることを伝えた途端にフラれたこと。後ろめたいことをしているわけではないけれど、初対面の人にどのタイミングで自分の嗜好について伝えるのか、マリファナ愛用者たちは悩むようだ。

 自分の嗜好が恋愛の障害になるなら、自分と同じ嗜好の人だけを集めればいい。High There!はそんな発想から生まれた。この発想は冒頭で触れた出会い系サイトにも共通することだが、今後、この分野の嗜好やテーマのニッチ化がさらに進むことが予想される。次にどんなトンデモなサービスが生まれるのか楽しみである。
(文=ツジエダサト)

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