「本当に最初から出す気がなかったのかは定かでありませんが、秋元さんは空気を読むのが非常に上手いタイプですから世間の拒絶反応を敏感に察知したがゆえの発言でしょう。近年はAKBグループのビジネスが巨大化し、実質的な権限は大手広告代理店やスポンサー企業に移っており、秋元さんの手を離れている。本人も『60歳で引退したい』とこぼしていますし、AKBグループの発展には興味を失っているのでしょう。運営サイドがどう考えているかは別にしても、秋元さんとしてはAKB抜きの個人でオリンピックに携わっていきたいと思っているようです」(芸能関係者)
秋元氏の手からAKBグループが離れつつあるとしても、影響力のある総合プロデューサーがメディア上で明確に否定したとなれば、全体のコンセンサスのとれた発言だったとも感じられる。どうやら現状ではAKBグループの出演の可能性は薄くなったと考えるのが自然のようだが、なにせオリンピックは5年後のこと。グループ自体がどうなるかも定かではなく、まだ先の読めない状態であるのは間違いない。
仮にAKBの出演がなくなったとしても、開会式を狙っているグループは他にもある。最も力を入れているのが、ここ近年の急成長で業界の一大勢力となった「EXILE TRIBE」だ。
EXILEのリーダーで所属事務所LDHの社長を兼任するHIRO(45)は、昨年開かれたトークショーで「日本のエンターテインメントを世界に発信できる最高の舞台」と東京五輪開会式を表現し、続けて「僕たちが(開会式の)中心にいられるように準備していきたい」と明確に出演に色気を見せている。また、メンバーたちも雑誌のインタビューなどで開会式への出演を将来の目標の一つとして明言しており、モチベーションは高い。
また、業界の雄である老舗のジャニーズ事務所も意気盛んだ。EXILEグループに比べると直接の言及は少ないものの、東京五輪組織委員会会長の森喜朗氏(77)がジャニー喜多川社長(83)演出の舞台に招待されるなどアピールは負けていない。
「両事務所をはじめとした芸能界の有力プロダクションが、売り込みのためのロビー活動を盛んにしています。オリンピックは国家事業ですから、そこに食い込めば金銭的なメリットはもちろんのことブランド力が格段に上がりますからね。AKBグループは五輪の放映権やスポンサーシップ権を独占する電通と非常に関係が深いだけに、その中でも大本命といわれていたのですが、秋元氏の発言から察するに撤退もあり得る雰囲気。少なくとも、運営サイドが積極的にアピールするような状態ではなさそうです。となると、今後はEXILEとジャニーズが出演候補の中心になっていきそうです」(週刊誌記者)
EXILEとジャニーズに関しても、開会式出演となれば賛否両論あるだろう。両グループが晴れの舞台を勝ち取るのか、それとも全く別のグループが台頭するのか、はたまた芸能グループの出演自体がなくなるのか。開催までの5年、芸能界の勢力図がどう動くかによって結果が変わってくるだろう。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops)