2010年前後から始まったとされる、“顔が写らずともシチュエーションを楽しむ”いわゆるフェチ系の写真集。ある一定の認知度を得たものの、次から次に出版されることとなったこれらの写真集は、すでに飽和したのか、当初のうねりのようなものを生むエネルギーは失われ、ニッチなところで収まりつつあるようだ。
一般を巻き込んだブームこそ望めないような状況にあるこの“フェチ系写真集”ではあるが、逆に、静かながらも間違いのない熱を帯びた作り手による、「本当に好きな人」に向けた、ある意味でストイックな作品が増え始めたようだ。もちろん、その種の興味がそもそもない人にとっては、ドン引きしてしまうようなものまであるのが現状だったりもするが…。
そんな中、ある一冊の写真集が1月29日に発売される。それが、『ふともも写真館 制服写真部』(著:ゆりあ/一迅社)だ。
書名そのままに、ズバリ女性のふとももにスポットを当てたこの書籍。おそらく多くの男性が嫌いであろうはずがないパーツを、魅力をいかに写真集に落とし込んでいるのか。著者・ゆりあ氏にインタビューし、本書への想いと“こだわり”をうかがった。
──“ふともも”に興味を持つようになったきっかけを教えてください。
ゆりあ:物心ついた頃から“ふともも”は好きでしたね (笑)。もともと写真が好きで、趣味のレベルではありましたが、こつこつといろいろなものを撮っていたんです。女のコはそのモチーフのひとつでしかなかったわけですが(中略)、すっかりふとももに目覚めてしまって今では本業で稼いだお金を撮影のスタジオや機材につぎこんでいます(笑)。最初はブログや写真共有サイトに掲載するといった、本当にごくごく個人的なところがスタート地点でした。コメントなどをいただくウチに、自分と同じような嗜好の方が多いことに気づき、であれば、それをなんらかのカタチでまとめたいと思い始めました。
幸いにも、今は個人が作品を発表する場にも恵まれていて、アート系で有名な『デザインフェスタ』で作品を発表することにしたんです。そこで『ふともも写真館』という本を500部作ったんですが、それがうれしいことに完売しまして、そのことがexciteのニュースとして取り上げられました。その後、有難いことにいくつかの出版社から「本にしないか」というお話をいただき、『デザインフェスタ』のブースでお話させていただいたリンダパブリーッシャーズさんと、exciteの記事を読んで連絡をいただいた一迅社さんの2社から写真集を発売することになりました。