おとなしい沢尻をイジっても仕方がないと思ったのか、さんまの矛先は次第に天然発言を繰り返す鈴木へと移っていく。さんまは、独特の間合いでゆっくりと喋る鈴木に、矢継ぎ早に激しいツッコミを浴びせ、次々と笑いを生んだ。「ゴキブリが出たら、新聞紙丸めてパーン」と話す鈴木には「何の話や!」と青筋を立てて叫び、「ペルーで食べすぎた」と言えば「それがどうした!」と大声を張り上げる。やがて番組では、さんまと鈴木のやり取りがお決まりのパターンになっていた。
「さんまさんは面白い人やイジれる人を見つけるのが得意ですからね。鈴木さんの前にまで歩み寄って、激しくツッコんだ瞬間、『見つけたな』と思いました。ただ、そんな2人のやり取りは、沢尻さんにとっては微妙だったのではないでしょうか。スタジオでは笑顔を見せていましたが、ほとんど見せ場のなかった沢尻さんは、不甲斐なさを感じたかもしれません。もちろん女優ですから、バラエティで面白い話をする必要はないですが、もう少しカメラに映りたかったという気持ちはあるでしょう。さんまさんの影に見切れるシーンも多々ありましたからね」(前出)
沢尻とすれば、『ホンマでっか』直後に放送される主演ドラマに、どうにか視聴者を取り込みたいという気持ちはあっただろう。しかし、この日は最終回にもかかわらず、平均視聴率6.5%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)と振るわなかった。すでに同枠で高視聴率を稼いでいた綾瀬はるか主演のドラマ『きょうは会社休みます。』(日本テレビ系)は先週で終わっているが、これまでと変わらない数字を記録している。そもそもいきなり最終回だけを見る視聴者は少ないだろうが、主演の沢尻がもう少し『ホンマでっか』の中でドラマのテーマでもある“悪女”をアピールできていれば、視聴率にも変化があったかもしれない。
しかし結果的に見れば目立っていたのは鈴木の天然ぶり。沢尻は、これまでのイメージとは違う一面を披露したが、それは同時にバラエティに不向きなことを示してしまったといえる。やはり彼女には“エリカ様”が似合っているのかもしれない。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/)
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